サッカー日本代表の攻撃陣にミスキャストは続く。ガーナ戦大勝を喜べない理由 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

選手のキャラクターと布陣が合っていない

 不思議だ。その時、右ウイングには伊東純也がいた。後半24分、堂安律に代わり途中出場していた。快足ウイングが右にいるにもかかわらず、真ん中も快足系の前田では、キャラが被るとは思わないのだろうか。左ウイングにいても真ん中にポジションを取る南野を、最初から真ん中に置き、前田を左に据えたほうが、何倍もスッキリする。ボールを収める力をそれなりに備えた南野を0トップ的に真ん中に置き、快足系の2人を両ウイングに配したほうがバランスははるかに保たれる。

 今後、大迫勇也をどう扱うのか定かではないが、1トップには快足系よりボールを収める力のある選手を置くべきなのだ。今回のメンバーで言うならば、鎌田大地が一番で、南野は2番目になる。なぜそうでなければならないかは、使用する4-3-3という布陣の特性と深く関係する。

 その1トップは、周囲と距離が離れているからだ。4-2-3-1、4-4-2(4-4-1-1)と比較すれば、一目瞭然。3バックの3-4-2-1と比較すれば、もっとわかりやすいだろう。サポートする選手が近くにいないので、1トップはボールを保持できる選手でなければ、間がもたないのである。このセオリーが森保采配では無視された状態にある。

 極めつきは、後半40分以降の配置だった。中山雄太を山根に代えて投入すると、布陣は5-2-3に変化した。中山、伊東の両ウイングバックをMFとするならば、中盤フラット型の3-4-3ということになるが、これは4-3-3より1トップと周囲との距離がさらに遠のく布陣だ。

 1トップに置く前田を生かそうとすれば、適合するスタイルは、守備を固めて一発にかけるカウンターしかない。4-1でリードしている終盤に立てる作戦として、まったく相応しくない。この3-4-3を攻撃的に機能させようとすれば、今回のメンバーのなかでは鎌田、南野を1トップに据えるしか方法はないのだ。

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