2022.06.09

攻守で圧倒的にやばいデータ出現のブラジル戦。これでドイツ、スペイン相手に大丈夫か?

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

ボールを奪われて逆襲を受けること9回

 チッチ監督が率いるブラジルの布陣は4-4-2。足技では世界トップレベルのGKアリソン、DFは右からダニ・アウベス、マルキーニョス、エデル・ミリトン、ギリェルメ・アラーナの4人、ダブルボランチはカゼミーロとフレッジ、右MFにラフィーニャ、左にヴィニシウス・ジュニオール、そして2トップはルーカス・パケタとネイマールがコンビを組んだ。

 一方、ビルドアップ時の日本の立ち位置は、両サイドバック(SB)が高い位置をとって2-3-2-3に変化。GK、2枚のセンターバック(CB)、遠藤航の4人でダイヤモンドを形成させたうえで、両SBがブラジルの両サイドMF(ラフィーニャ、ヴィニシウス)を引きつけることで、中央ゾーンはGKを含めて4対2の数的優位が保たれる。そこをボールの出口にして、サイドから敵陣に前進するという方法だ。

 ところが、ブラジルは一枚も二枚も上手だった。日本のインサイドハーフへのパスコースを消していたはずのカゼミーロとフレッジのふたりのうちどちらかが、ボールの位置によって敢えて浮かせていた遠藤に接近。

 その場合、ラフィーニャ、ヴィニシウスどちらかがずれて田中碧または原口元気へのパスコースを消し、中山雄太か長友佑都のどちらかを浮かせる。このプレス方法を使い分けることで、日本の前進を封じにかかった。

 すると前半27分、日本はビルドアップから長友が縦に入れたボールをアラーナに狙われ、そこを起点にブラジルにショートカウンターを発動される。最終的にこのピンチはGK権田修一の好セーブに救われたが、ネイマールの強烈なシュートを浴びている。

 日本がビルドアップ時に相手のプレスをかいくぐれず、途中でボールを奪われて逆襲に遭ったシーンは、それ以外にも前半に2回(33分、40分)、後半に6回(46分、53分、69分、71分、75分、78分)。

 つまり、1試合で計9回もあり、そのうち75分のシーンは、GK権田から田中につなぎ、田中が堂安律に入れた縦パスをアラーナにカットされて受けたショートカウンターの流れから、遠藤が与えたPKにつながった。

 逆に、日本がプレスを回避しながら敵陣まで前進できたのは、前半24分、25分、28分の3回。ただ、24分のシーンは敵陣左サイドで南野拓実が相手に囲まれてボールロストし、板倉滉の持ち上がりによって前進した25分のシーンも、縦パスを南野がロスト。28分のシーンでは、自陣左から南野を走らせた田中のパス精度が低く、相手が回収。

 いずれもアタッキングサードまで到達できず、その意味で、日本のプレス回避は完全に失策に終わった。

 この試合で日本が記録したシュートは枠外4本(前半1本、後半3本)。そのうち23分と83分の遠藤のヘディングシュートはコーナーキックのシーンで、後半51分の古橋亨梧のシュートは、ダニ・アウベスのヘディングのクリアを拾ったあとに放ったミドルシュート。

 自力で作った唯一のシュートシーンは、後半72分、中山のクロスをファーで伊東純也が狙ったボレーシュートだったが、残念ながらミートできず、ボールは大きく枠を外れている。

 アジア予選では頼みの綱だった伊東もブラジル相手に沈黙。パラグアイ戦で違いを生み出した鎌田大地、三笘薫、堂安も途中出場したが、このレベルの相手になると持ち味を発揮できなかった。

 個の力が通用しない場合、頼れるのはチーム戦術になるが、しかし指揮官が用意した攻撃の糸口作りもことごとく封じられてしまった。結局、相手ゴールに迫ることさえもできなかったというのが、この試合で日本の攻撃が直面した現実だった。