日本代表戦をブラジル代表はどう感じたか。「ファウルがひどい」と非難の嵐 (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

ネイマールは「いい勉強になった」

 この試合の1点はPKからのもので、0-0でもおかしくはなかった。しかしスコアレスドローはあり得たとしても、こんなプレーをしていては、日本はW杯で絶対に勝つことはできないだろう。

 ちなみに日本の選手の話はテレビでも出てこなかった。せいぜい挙がっていたのは伊東純也と権田修一の名前ぐらいだ。伊東はエネルギッシュによく動き、フェアなプレーでブラジル選手を翻弄していたし、権田がいたからこそ失点が1で抑えられたのだろう。ただ、あとの選手は語る必要もないという感じだった。

 ここまではブラジルのメディアの意見だが、一般のブラジル人はどうだったか。

 はっきり言えば、あまり興味を持っていなかった。平日の朝の7時に行なわれたというのもマイナス要素だった。朝起きて結果を知るだけというのが正直なところだ。人々が知るのは、ネイマールがPKでゴールを決めてペレの記録にまた近づいたこと、90分間ずっと雨だったことぐらいだろう。でも、それでよかったのかもしれない。日本サッカーを愛するひとりのブラジル人としては、あまり皆に見てほしい試合ではなかった。

 それにしても森保一監督は試合前に選手たちになんと言ったのだろうか。韓国のように5失点をするのだけはやめろというのが唯一の指示だったのではないだろうか。そうでなければ、日本はあんなに下がって守備はしなかっただろうし、あんなに荒いプレーをしてまでブラジルを止めなかっただろう。

 ただし、ブラジルにとってこうしたタイプのチームと対戦しておくのはいい経験だったという声もある。GKのアリソン・ベッカーは言う。

「非常に難しい試合だった。私自身はほとんど仕事がなかったが、仲間たちはかなり苦しめられていた。でも、ファウルを使って止めに来る敵と、どのように戦うかはこれで体験できた。W杯に向けては必要な試合だったかもしれない」

 そしてネイマールは、ブラジルのサッカー誌『プラカール』のインタビューにこう答えていた。

「ボールを持つたびにファウルを受けた。それは決していいサッカーではなかった。止めるには他の方法があったはずだ。でも、俺にとってはいい勉強にはなったよ」

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