日本代表がW杯で番狂わせを起こす可能性は見えた。その確率を上げるための課題も鮮明になった (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 加えて、日本は先制点を奪われたあと、ゴールをとり返す姿勢を強めてもなお、カウンターから追加点を許すこともなかった。

 結果的に試合は0-1で終わったが、何かの拍子に1点入れば、1-1の引き分け。その可能性をたとえわずかでも残したまま、最後まで戦い続けることができた。

 DF長友佑都は、「正直、今まで対戦したブラジルは手も足も出ず、太刀打ちできなかった」と言い、この日の試合についても「もちろん、1点差以上の差はあったと」としながら、こう続ける。

「今まで何もできなかったブラジル戦に比べると、僕自身は手応えを持てた試合だったと思う」

 何度も苦汁をなめてきたベテランの言葉は、決して強がりばかりではないだろう。

 とはいえ、この試合を繰り返したところで、日本が勝つ確率は数パーセントあるかどうか。実力差は承知のうえで、その可能性を少しでも高める努力は必要だ。

 ならば、どうするか。

 守備に関して言えば、よくも悪くもこんなものだろう。

 もちろん、前からのプレッシングを強めてボールを奪えるに越したことはないが、世界トップレベルのGKがビルドアップに加わり、数的優位を作られると、そうは簡単にプレスはハマらない。

 だからといって、引いて構えれば、どうにかゴール前ではね返し続けることはできるかもしれないが、ひたすら専守防衛の試合展開になりかねない。

 現状、ブラジルクラスを相手にしても、プレスとリトリートを使い分けながら、どうにか対応できていると言ってもいいのだろう。

 問題なのは、攻撃に転じたあと、である。

 森保一監督も、「相手の圧力よりも早くいいポジションをとってボールをつなげるように、というところを上げていかないといけない」と話しているとおりだ。

 この日の試合では、つなぎのパスにミスが目立った。これでは、ゴールを予感させるような攻撃につなげられないばかりか、マイボールの時間を長くすることもできない。

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