鎌田大地の傑出した力を引き出すには? 日本代表は4-3-3ありきでいいのか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

その能力を守備で疲弊させるべきか

 激賞に近かったが、「この日のパラグアイ相手」という注釈はつけるべきだ。

 鎌田はインサイドハーフでプレーしたが、攻められる時間は少なく、実質はトップ下に近かった。終盤に至っては、ほぼトップ下に入っていた。ひとりで仕掛け、アウトサイドでの際どいシュートを放ったが、このレベルの相手だったら、トップ下でも無双で戦えただろう。守備面で試されるような場面はないに等しかった。

 カタールW杯で同じ組になったドイツ、スペインには、受け身にならざるを得ない展開も予想される。

「フランクフルトでも、ビッグクラブと対戦することはあるので、そこは(攻撃と守備のバランスを)調整できます。格上のチームとやる時は、今日のようにはならない」

 鎌田も、そのあたりの難しさは重々承知だ。

 鎌田は守備を苦手としているわけではない。体躯にも恵まれ、球際の強さもある。ELのバルセロナ戦では、パスコースをカットしながら、進入路を塞ぐディフェンスで、戦術的クレバーさを見せた。気ままな天才肌に見えるが、実はオールラウンダータイプのサッカー選手である。

 インサイドハーフも、できなくはない。中盤でボールに触ってリズムを作り、ボールキープからプレーメイクもできるし、局面での守備もできる。資質は否定しない。

 ただ、鎌田が最大限の輝きを放つのは、インスピレーションを全開にし、直接ゴールに絡めるトップ下である。事実、フランクフルトでもファーストポジションはシャドーの一角で、トップ下に近い。そこでなら、たとえ格上相手でも一発のプレーで相手をノックアウトできる力があり、まさにELの試合で真価を示している。

「(次の)ブラジル戦は、今日のように自分たちがボールを握れる展開じゃないと思う。奪ってカウンターというか、今日よりは守備的になると思う」

 鎌田はそう説明したが、問題は「インサイドハーフで起用することにより彼の攻撃力を守備で疲弊させるべきか」だろう。

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