サッカー日本代表の歴代最強はどのチームか? 識者5人が考えたベスト3 (3ページ目)

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2位/ザックジャパン(2011~13年)

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攻撃的スタイルで積極采配

原山裕平(サッカーライター)

 カルチョの国からやってきた指揮官は、初陣でリオネル・メッシ擁するアルゼンチンを撃破する最高のスタートを切ると、就任から半年もたたないうちに開かれたアジアカップでは劇的な戦いを次々にモノにして、アジアの頂点に導いている。

 イタリア人には珍しく攻撃的スタイルを標榜したアルベルト・ザッケローニ監督は、伸び盛りにあった香川真司、本田圭佑、岡崎慎司らを中心に強化を推し進め、瞬く間にチームを完成させた。

 アジアカップで見せたリスクを負った積極采配でも評価を高め、退屈極まりなかった南アフリカW杯とは対照的な新たな日本代表の姿に、大きな期待感を抱いたものだ。

 なかでも香川の2ゴールなどで3-0と快勝を収めた2011年8月の韓国戦は、日韓戦史上最高のゲームだっただろう。

 ただし、あの試合がピークだったかもしれない。その後に始まったW杯予選は危なげなく勝ち抜き、親善試合ではフランスやベルギーに勝利もしている。しかし、メンバーの固定化によって新陳代謝を失ったチームはマンネリ化に陥り、次第にトーンダウン。そして肝心の本番(ブラジルW杯)では、まるで力を出すことができなかった。

 即効性があったが、継続性が足りなかった。1年スパンで結果が求められるクラブチームでは成果を上げていたものの、代表チームを率いるのは初めてだったザックにとって、4年という月日は長すぎたのかもしれない。

指揮官、選手個人、チーム戦術、すべてが揃う

中山 淳(サッカージャーナリスト)

 歴代の日本代表で、最も世界に接近していたのが、イタリア人のアルベルト・ザッケローニ監督の時代だ。

 就任直後からチームに本場のゾーンディフェンスを基礎から植えつけたザッケローニは、守備から攻撃に移行した際のルール作りも怠らなかった。やや旬を過ぎていたとはいえ、さすがイタリアで名将と評された監督の仕事ぶりだった。

 しかも当時は、本田圭佑、香川真司、内田篤人、長友佑都、岡崎慎司、吉田麻也といった伸び盛りの選手たちが、それぞれ欧州のトップリーグでプレーしていた時代。つまり、指揮官、選手個人、チーム戦術と、すべてが揃っていたのだ。

 そんなザックジャパンの充実期が、ブラジルW杯アジア最終予選を戦った2012~13年の頃だ。オマーン(3-0)、ヨルダン(6-0)に華々しい勝利で連勝発進したように、あの時期のチームには、文字どおり相手を圧倒するだけの強さがあった。

 残念だったのは、W杯出場を決めてからのザッケローニが、本大会までの指揮が約束されたこともあってか、試合のディテールに対するこだわりが薄れ始めたことだった。

 それまでできていたことができなくなるという現象が試合の随所で見られるようになると、結局、そのまま下降線を辿りながら、ブラジルW杯に臨んだのである。

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