日本代表の大きな武器、三笘薫のドリブルを風間八宏が解説。「彼はまさにドリブラー。ただ、まだ伸びしろがある」 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

シュート、パスのタイミングがわからない

 日本代表での三笘と言えば、W杯アジア最終予選のオマーン戦(アウェー)の後半から出場し、伊東純也の決勝点をアシストした試合と、オーストラリア戦(アウェー)の終盤にピッチに送り出され、あっという間に2ゴールを決めて本大会出場に大きく貢献した試合が印象的だ。

 どちらの試合においても、際立っていたのは左サイドからのドリブル突破だった。あれだけ試合の流れを大きく変えられる武器を持っている選手は、それほど多くはいない。それを考えれば、現段階においては、三笘のよさを最も引き出せる左ウイング起用が、日本代表における最適解と見ていいだろう。

「やはり三笘の最大の強みは、左サイドでボールを持った時にしっかりとした"型"を持っていることです。しかも、最近はシュートの質も上がってきていて、ゴールの隅を狙えるようにもなってきました。

 それと、ボールをしっかりコントロールできている時は、どのタイミングでシュートを打ってくるのかが、相手にとってわかりにくいという特徴もある。パスするタイミングについても同じことが言えますが、そういったところは非凡なものがあります。

 つまり、ドリブルしながらシュートとパスの両方ができるということ。その型を持っているという部分で言うと、左サイドのスペシャリストと言っていいでしょう。W杯のような舞台では、武器を持っている選手なのかそうでないのかは、とくに攻撃の選手にとってはとても重要な要素になります。

 個人的には、もっと彼には多くの武器を持ってほしいと期待していますが、少なくとも、現段階でも彼のドリブルが日本代表の武器になっているのは間違いありません」

 三笘のドリブル突破が、カタールW杯に挑む森保ジャパンにとっての攻撃の起爆剤になり得ることは、誰の目から見てもはっきりしている。果たして、ドイツやスペインといった強豪チームと対峙した時、三笘の左サイドからのドリブル突破は、どれだけのインパクトを与え、効果を示してくれるのか。

 日本のサッカーファンの多くが、そこに大きな期待をかけている。

三笘薫
みとま・かおる/1997年5月20日生まれ。神奈川県川崎市出身。川崎フロンターレの育成組織から筑波大学を経て、川崎に入団。在籍1シーズン半で鮮烈な活躍を残し、2021年8月にブライトン(イングランド)へ移籍。そこからローン移籍し、2021-22シーズンは、ユニオン・サン=ジロワーズ(ベルギー)でプレーした。日本代表は五輪代表として2021年東京五輪でプレー。A代表ではカタールW杯アジア最終予選でも活躍した。

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風間八宏
かざま・やひろ/1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手指導、サッカーコーチの指導に携わっている。

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