日本代表の大きな武器、三笘薫のドリブルを風間八宏が解説。「彼はまさにドリブラー。ただ、まだ伸びしろがある」 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

まだ伸びしろがある

 ボールを自分のベストな場所に置き、あまり動かさないという特徴は、前回(連載第2回)で風間氏が解説したレアル・マドリードのルカ・モドリッチのそれに共通している。

「そうですね。ボールを必要以上に動かさない点で、似ていると思います。とくにボールを正面に運び出した時のドリブルは、ボールも縦回転で安定しているので、スピードに乗ることもできています。

 ただ、モドリッチと違うのは、ドリブルする度に自分とボールの距離が変わってしまったり、ボールの回転が縦ではなく、斜めになったりすることですね。逆に言えば、そこはまだ彼の伸びしろだと思います。

 とにかく三笘の場合、サイドでボールを受けて、しっかりコントロールできた時は、かなりの確率で相手ひとりは抜き去ることができるので、それだけでもチームにとっては大きな武器になります」

 左サイドでボールを受けてから、ドリブルを仕掛けてチャンスメイクするプレーは、たしかに川崎時代からよく目にした、三笘お得意のパターンだ。では、三笘は中央や右サイドでも自分の武器を生かすことは可能なのか。風間氏が、そんな疑問に答えてくれた。

「たとえば、中央でプレーするためには、ひとつひとつの技術をさらに緻密にすることが重要で、ボールを受ける技術も必要になってきます。三笘は、川崎時代も現在も左サイドでプレーしていますが、ほかのチームでプレーする場合にどこでプレーするのかは、監督の考え方やチーム事情にもよるので、現時点ではわかりません。

 ただ、左サイドでプレーする場合は確実に質の高い仕事はできるので、日本代表の戦力として見た場合も、W杯で彼を左サイドに置けば、計算はできる。もちろん、高いレベルの相手と対峙した時にどうなるのか、相手が2人で対応してきた時はどうなのかなど、そこは実際にやってみないとわからない部分はありますが、あのドリブルはチームの武器になることだけは確かだと思います」

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