森保一監督に「過去を否定する余裕」は見られない。招集された代表メンバーの焦点は? (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

攻撃の中心は南野か、鎌田か

 布陣を4-2-3-1に戻し、鎌田を1トップ下で起用するつもりなのか。0トップとして、4-3-3の1トップで使うのか。田中、守田らとインサイドハーフで競わせるのか。

 4-2-3-1の1トップ下に収まると、久保はウイングに回ることになる。だが、ウイングにライバルは多くいる。右は伊東。左は三笘、南野が構えている。

 南野も苦しい戦いを強いられそうなムードだ。4-2-3-1では、左ウイングを三笘に譲っても1トップ下があった。しかし、4-3-3になると移動先がなくなった。三笘の台頭で苦しい立場になっていた。そこに鎌田が復帰すると、4-2-3-1でも行き場を失うことになる。

 南野か鎌田か。これまでは、リバプール所属のチャンピオンズリーガーという肩書きもあって、選手としての格で南野が大きく上回っていた。だが、鎌田がヨーロッパリーグのチャンピオンの肩書きを得たいまとなってはどうだろうか。

 鎌田にとって、6月の4試合はまさに凱旋試合になる。格で迫られている格好の南野は、5月28日にスタッド・ドゥ・フランスで行なわれるチャンピオンズリーグ(CL)決勝(リバプール対レアル・マドリード)が、挽回のチャンスになる。1分でもピッチに立てば、日本人初のCLファイナリストになる。勝利を飾れば欧州チャンピオンだ。鎌田に再び格で大きな差をつけることができる。三笘に対しても同様に優位に立つことができる。

 この前線の並びを、森保監督はどうコントロールするか。選択肢をどれほど見いだすことができるか。さらに言えば、28人中24人を占めるフィールドプレーヤーをどう使いこなすか。

 W杯本番で難敵ドイツ、スペインに立ち向かう冒険心、チャレンジャー精神を、自らの采配の中に示すことができるのか。厳しい目を光らせたい。

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