サッカーU-21日本代表の中心選手は誰か。熱血監督の下で国際大会優勝と上々のスタート (3ページ目)

  • 松尾祐希●取材・文 text by Matsuo Yuki
  • photo by Matsuo Yuki

チームの主役は誰になる?

 遠征のラストマッチとなったサウジアラビアとの優勝決定戦は、チーム事情で18名のメンバーで戦うことになったが、今までの反省を踏まえてプレー。2歳年上で3カ月後のU-23アジアカップで同組になっているライバルに対して、一歩も引かず序盤から積極的にボールを奪い、即座に攻撃を仕掛けた。

 決勝点を決めたFW細谷真大(柏レイソル)は高い位置から何度もハイプレスを掛け、中盤の選手たちも呼応して球際で激しいバトルを何度も繰り広げていく。1-0で迎えた後半は相手に押し込まれ、自陣で耐える時間が続いた。それでも、MF山本理仁(東京ヴェルディ)やMF藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)を軸に泥臭く守り、虎の子の1点を死守。

 大岩監督が求めた"タフさ"を示し、優勝カップをドバイの夜空に掲げられたのは、チームとして成長した証だろう。

 選手個人でも今後の期待できる選手が多くいた。2試合でキャプテンマークを巻いた藤田は高い守備能力を発揮しただけではなく、ピッチ内外でリーダーとしての役割を全う。ベンチスタートだった第2戦では先発メンバーに声を掛け、試合開始直前には一人だけ先発メンバー全員とハイタッチした振る舞いはまさにリーダーだった。

 海外組のGK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)やMF斉藤光毅(ロンメルSK)が精神的にも技術的にも成長した姿を見せたのは印象深い。ともに球際で激しく戦い、"海外慣れ"している姿は頼もしさすら感じさせた。

 国内組でも山本が攻撃面でセンスを発揮したのはもちろん、泥臭く守備に奔走してチームの勝利に貢献。1月のA代表候補合宿に参加したFW荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)、FW鈴木唯人(清水エスパルス)、DF西尾もそれぞれ持ち味を発揮し、この年代のなかでは一つ抜けた存在であることを示した。

 チームは未完成で、最終的なメンバーもどうなるかわからない。ただ、今回の遠征を通じて、大岩監督の熱量はチームに伝わっただろう。

「遠征を通して試合でも練習でも話し合う機会が多くて、チームとしての方向性も見えてきたのかなと思う」とは藤田の言葉。それを受けて、選手たちが所属クラブでどのようなプレーを見せるのか。少なくとも、6月のU-23アジアカップを戦う上で実り多きUAE遠征だったのは間違いない。

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