サッカーU-21日本代表の中心選手は誰か。熱血監督の下で国際大会優勝と上々のスタート (2ページ目)

  • 松尾祐希●取材・文 text by Matsuo Yuki
  • photo by Matsuo Yuki

タフさが求められた海外遠征

 指揮官が今遠征中のテーマとして掲げたキーワードは"タフさ"。「今回の遠征ではたくましさ、タフさを求めながら、グループとして戦うために戦術理解を進めていきたい」と話していた。

 実際に 、"タフさ"を図る上では打ってつけの大会となった。10カ国で争われたなかで、海外遠征ならではの困難に直面。大会のレギュレーションがなかなか運営側から発表されず、3戦目の順位決定戦を行なうための予選リーグにおける順位決定方法もチーム側になかなか伝わって来なかった。

 ハプニングはそれだけではない。初戦前日にはいきなり試合会場が変更となったのだ。海外ではありがちな話なのだが、今回のメンバーは久々の遠征でこうした難しさに慣れていない。言葉では「問題ない」と話していても、実際には面食らった選手も少なくなかった。大会で使う試合球も練習では使えずに、今回は試合当日になって触れる形になった。

 また、食事面では西尾隆矢(セレッソ大阪)のように「昔の遠征を思い出して懐かしさもある。楽しかったし、いい経験になりました」と意に介さない選手もいた一方で、「全く食事が合わないんですよ」と話す選手も。

 そうした選手たちのためにも、今回は意図的に現地の食事を摂る方針だったのだが、口に合わない選手がしたり、普段からストイックな食生活をしている選手たちなどにとっては、思うような食事ができずストレスを抱えることになった。

 現状のなかでいかにベストを尽くすか。海外遠征では普段とは異なる環境で戦う必要があるが、それはピッチ内でも変わらない。いざ試合になると、国内では味わえない異質なサッカーに触れた。

 初戦のクロアチアは大柄な選手が最終ラインにずらりと並び、スローテンポなゲームを展開。東欧の国らしい"省エネスタイル"で自分たちのペースになかなか持ち込ませてもらえなかった。第2戦のカタールは、身体能力と技術力に定評がある好チーム。のらりくらり戦いながらチャンスと見れば一気にギアを上げる戦いぶりは、"これぞアジア"という雰囲気があった。

 いずれもの試合も序盤からバタつき、イージーなミスも散見。自分たちのペースに持ち込めず、タフさが求められる展開となった。ただ、そこから軌道修正し、無失点で勝ちきったのは収穫だろう。

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