日本代表にスペインの名指導者から厳しい指摘。「ベトナム戦は試合プランで後手に回っていた」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

本大会は11人では勝てない

 たとえば、久保建英、三笘薫が外から中央へ突っ込み、インサイドハーフの原口元気、旗手怜央も中央で得点に意欲を見せるが、誰かがサポートに入ったり、スペースを開ける動きをしたりすることがなく、前線に人が集まりすぎていた。

 アンカーの柴崎岳は、あらゆる面で反応が遅かった。選手同士の補完関係を作れず、攻守の起点になれていない。結果、イニシアチブを握ることができなかった」

 この試合まで森保ジャパンについて肯定的な論調を続けてきたエチャリだが、ベトナム戦で試合プランが後手に回っていたことに関しては厳しく指摘している。

 だが、後半からは日本代表の本来の輝きが見えたとエチャリは言う

「原口元気に関しては、時間を追うごとにプレーを改善したと言えるだろう。このリポートを毎回読んでいる方はご存じかもしれないが、私は彼のプレーに"恋をしている"。おそらく、戦術的な指導者であれば好んで使うはずの選手だ。

 原口は、生粋のタクティカルプレーヤーである。アップダウンができて、ボールを運ぶテクニックに優れ、フェイントからシュートのような攻撃面の技術も持っている。サイドでも、インサイドハーフでも、十分に担当できる。事実、前半も半ば過ぎからは、ひとつ後ろにポジションを取ってプレーテンポを作り、攻めを促すようになっていた。

 後半、日本は4-2-3-1に戦術変更し、これが功を奏している。

 55分、左に流れた久保がボランチから攻め上がった原口にパスを通す。原口は質の高いシュートをGKに浴びせる。そのこぼれを吉田麻也が押し込み、同点に成功した。

 後半は1トップの上田綺世が頻繁にプレーに顔を出すようになった。彼のポストワークから、久保、伊東純也が立て続けにシュート。さらに上田のシュートが南野拓実に当たって、こぼれを田中碧が決めたが、これは南野のハンドの判定になった。また、田中がヘディングで折り返したボールを滑り込みながら流し込んだが、これはオフサイドで取り消された。

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