スペインの名伯楽が日本代表に「欠かせない」と評した選手は?「彼がそのポジションに入って理想的な形になった」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

三笘の得点も中盤のバランスがあってこそ

「どうにか失点を防いだことで、オーストラリアは2トップのパワーとキックのよさを生かし、日本に完全には主導権を与えなかった。後半は途中までペースを挽回。セットプレーを中心に、いくつかのチャンスを作った。

 日本は次第にラインが間延びし、居るべきポジションを失うところが見られた。それが相手にカウンターの余地を与えることになった。あまりにオープンな展開にした点は修正点だ。

 攻撃面では、大迫に代わって出場した浅野の抜け出しが単調だった。もう少しラインの駆け引きができないと、高いレベルでは得点できないだろう。悪い選手ではないが、1対1で焦ってしまうところがあるし、せっかく作ったシュートのシーンも振り足に全く当てられていなかった。周囲とのコンビネーションも未成熟で、今後の課題だ。

 しかし、森保監督はいいタイミングで選手に見きりをつけている。浅野を上田綺世へ、イエローカードを受けていた長友を中山雄太へと選手交代。これで日本は落ち着き、プレー強度を戻すこともできた」

 エチャリはそう言って、試合の流れを分析している。そして勝機をもたらした要因についても言及した。

「日本が流れを取り戻したことが、結果として劇的な勝利につながった。それを可能にしたのは、中盤の3人の貢献が大きい。遠藤航はアンカーを基本ポジションに、的確なカバーリングと1対1でのパワーのあるディフェンスを見せ、田中碧は攻撃的プレーセンスが際立ち、守田英正は攻守の潤滑油だった。3人が状況に応じてポジションを変え、攻守のバランスをとっていた。

 とりわけ遠藤はアジア予選を通じ、ベストプレーヤーのひとりと言える。この日も相手の2トップに対し、センターバックと連携してよく守っていた。彼がこのポジションに入ることで、森保ジャパンは理想的な形になったと言えるだろう。

 いい守備がいい攻撃を作る。その点で、遠藤は欠かせない。終盤の予想を上回る2得点も、バランスを保ったおかげで生まれたものだろう。

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