日本代表で最長時間出場。4年間で成長した遠藤航が振り返るオーストラリア戦 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

間延びもしょうがないと割りきっていた

"イメージどおり"と表現してはいるのは、あくまで想定していた目標を達成できたにすぎないという意味だろう。まだ満足はできないということなのだろうか、オーストラリアとの大一番に勝利を収め、カタールW杯出場を決めた直後にもかかわらず、淡々と話していたのが印象的だ。

 1対1の強さ、実績からくる自信は、オーストラリア戦でも頼りになった。この試合では、負傷で招集を辞退した大迫勇也に代わり、浅野拓磨が1トップをつとめた。ポストプレーを得意とする大迫に対し、浅野はスピード勝負の選手。自然とロングボールで浅野を走らせる攻撃パターンが増えた。対するオーストラリアもボールを保持して組み立てることはできずにロングボール頼みとなり、激しいボールの奪い合いが増えた。

 遠藤は前半の攻撃の意図をこう説明する。

「お互い、最初は裏の意識があったなかで、相手もカウンターで長いボールで何かを起こそうとした。日本も拓磨がスタメンだったので、足元より裏を意識的に狙うという戦術があった。もちろんボールを持つところは持ちたいという感覚が個人的にはあったんですけど、ある程度、選手の特徴を考えるとしょうがないかなと割りきっていた。相手もそういう狙いだったから、間延びしたのはしかたがないかなと。ただ、セカンドはしっかり拾うとか、そういうところは意識しました」

 実際、前半の日本は、浅野拓磨が裏に抜け、南野拓実のシュートがバーを叩くシーンなどが再三見られた。一方で、オーストラリアにもロングボールから何度もチャンスを作られた。チャンスを逸するところからカウンターを受けることは「個人的にはイヤだなという感覚もあった」としながら、戦いをこう振り返る。

「こういうちょっと(オープンな)大きな展開っていうのは、(反省すべき点が)あるかもしれないですけど、ブンデスだったら結構多いんです。マンツーマン気味で、うしろで1対1とかになっても、自分のアンカーのところが余っていれば(数的優位であれば)問題ない。最終的に個で負けなければ、やられることはないというところもある。そこはいろいろな考え方があると思うけど、今日に関して言えば、そこの1対1が大事だったのかな、と」

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