直近の五輪世代が果たしてきたW杯出場を決定づける大役。今回のオーストラリア戦では誰が? (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 なにしろ、日本はオーストラリア戦に勝てばワールドカップ出場が決まるとはいえ、その一方で、もしも負ければ、オーストラリアと勝ち点で並んでしまう。その場合、日本は自力での出場権獲得のチャンスがなくなってしまうばかりか、オーストラリアに得失点差で上回られ、最終戦を前に非常に苦しい状況に立たされるのである。

 つまり、日本としては、オーストラリアと引き分けでも問題なし。言い換えれば、オーストラリア戦は負けなければいい試合、ということになる。

 これまでの8試合で9点しかとれていない日本が、突如攻撃力を爆発させるとは考えにくく、すっかり最終予選のキーマンとなった感のある3ボランチが、うまくバランスをとり、スペースを消し、オーストラリアの攻撃を封じることができるか否か。そこに、この試合のポイントがありそうだ。試合当日のシドニーは雨予報となっており、ピッチコンディションの心配もあるが、試合がこう着状態に陥るようなら、それはそれで日本にとっては悪くない展開だろう。

 とはいえ、やはり最後くらいはすっきりと勝って、カッコよくワールドカップ出場を決めてもらいたいところ。いつになく苦しんだ最終予選なのだから、その思いはなおさらだ。

 実際、過去の歴史を振り返っても、日本が突破した最終予選5回のうち4回は、勝った試合でワールドカップ出場を決めている。

 しかも不思議なことに、勝ってワールドカップ出場を決めた4回のうち3回は、直近の五輪世代から台頭してきた若い選手がゴールを決め、勝利を手にしているのである。

 1998年大会では、アトランタ五輪世代のFW城彰二。2010年大会では、北京五輪世代のFW岡崎慎司。2018年大会では、リオ五輪世代のFW浅野拓磨、MF井手口陽介、といった具合だ。

 五輪世代からの底上げが日本代表を強くする――。その事実は、記録にもしっかりと表れている。

 だとすれば、今回のオーストラリア戦は、東京五輪世代の出番である。

 当時はまだ試合に出たり、出なかったりだった岡崎が、日本をワールドカップに導くゴールを決めたことをきっかけに、一躍日本代表の主力FWとなったように、東京五輪世代にもここでの大仕事を期待したいところだ。

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