大迫勇也、前田大然の離脱で露呈。森保一監督の選手選考が危機をもたらした (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

なぜ鎌田大地を呼ばないのか

 筆者がこのなかで推すのは鎌田だ。所属のフランクフルトではトップ脇、トップ下あたりで使われることが多いが、ドイツ時代の大迫も同様だった。鎌田と大迫は、大きくくくれば同型の選手。純然たるストライカーと言うより、0トップタイプという点で共通する。

 欧州での活躍度という点でも、現在の日本人のなかではナンバーワンだ。ヨーロッパリーグを戦うフランクフルトでも、外せない選手としてプレーしている。だが森保監督は、その鎌田を今予選、3戦目のサウジアラビア戦を最後に、スタメンから外し、そして何を血迷ったか、7戦目の中国戦、8戦目(前戦)のサウジアラビア戦、そして今回と、招集外にした。今回、大迫がケガをしても、追加招集さえしない。上田や林の前に選ぶべき選手は、鎌田。何が理由なのか定かではないが、森保監督には冷静な判断を求めたくなる。

 上田、林の前に、との視点でさらに言及するならば、ふたりの選手を挙げたくなる。

 ひとり目は鈴木優磨(鹿島アントラーズ)だ。同じ鹿島でも、アタッカーとして総合的な能力で勝るのは、上田より鈴木だ。逆転勝利を収めた先の湘南ベルマーレ戦、同点弾となった上田綺世のミドルシュートは確かに見事だった。しかし、この試合のMVPを誰にしたくなったかと言えば、決勝ゴールを決めたファンアラーノに、右の深い位置からマイナスの折り返しを送った鈴木になる。

 相手ディフェンダー山本脩斗のマークをずらしながら送った折り返しは、荒くれた風貌には似合わぬ、繊細でテクニカルな、これぞ代表級と言いたくなるワンプレーだった。しかも彼は上田より多機能だ。前田同様、右も左も真ん中もできる。活きのよさも魅力的だ。なぜ選ばないのか。疑問を呈したい。

 もうひとりはシント・トロイデンで林と並び2トップを張る原大智だ。現在22歳。191センチの長身と縦への推進力が魅力的なストライカーも、選ばれるべき選手になる。林を選んで原を選ばない理由がわからない。五輪チームにも1度も招集されていない、大化けしそうな雰囲気をいま最も醸し出している選手。先の森保監督がなぜその可能性を追求しようとしないか、理解に苦しむ。

 W杯ベスト8を掲げるなら、1トップはできる限り大迫以外の選択肢を追求したい。そうした前提に立つ筆者には、森保監督の選手選考が歯がゆく感じられて仕方がないのである。

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