大迫勇也、前田大然の離脱で露呈。森保一監督の選手選考が危機をもたらした (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

大迫に固執した森保監督

 しかし、上田にしても林にしても、純然たるA代表戦を戦うのはこれが初。コンビネーションを考えると不安は残る。現時点で見る側は、得点の道筋をイメージしにくい状態にある。前田が出ていたとしても似たようなことが言えるだろう。

 なぜこんなことになってしまうのか。大迫の代わりに1トップを務められそうな選手に、森保一監督は積極的にチャンスを与えようとしなかったからだ。絶対性が失われつつある大迫で、ひたすら押し通してきた。

 今回の最終予選、大迫は過去8戦ともにスタメンだ。メンバー交代5人制で行なわれているにもかかわらず、フル出場が3試合もある。森保監督は大迫に他の追随を許さない圧倒的な出場機会を与えている。大迫が招集外になるまで、先発候補は彼以外、考えられない状態にあった。

 前回の2018年ロシアW杯で大迫は、初戦のコロンビア戦で決勝点を挙げるなど、文句なしの活躍を演じた。しかしその時、彼は28歳だった。サッカー選手の選手寿命は延びているとはいえ、4年後を考えるといささか心配になる年齢だった。

 4年後に旬を迎えたストライカーで臨まないと、さらなる高みは狙えない。大迫以外の選択肢を見いださないと、次回ベスト8は狙えない。そうでないとチームに勢いが生まれない。決勝トーナメント1回戦が行なわれたロストフの現場で、筆者は強くそう思った。時期代表監督に不可欠な視点だと直感した。

 ストライカーの出来とチームの成績は比例の関係にある。選手交代5人制で行なわれるなら、その数は2、3人必要になる。大迫以外の選択肢が不可欠な状況になっているにもかかわらず、森保監督は他の選手にチャンスを与えようとしなかった。

 鎌田大地(フランクフルト)、鈴木武蔵(ベールスホット)、永井謙佑(FC東京)、北川航也(ラピド・ウィーン)、上田、前田、浅野拓磨(ボーフム)、武藤嘉紀(ヴィッセル神戸)、オナイウ阿道(トゥールーズ)、杉本健勇(ジュビロ磐田)、小林悠(川崎フロンターレ)。

 上記は森保ジャパンでこれまでセンターフォワードとして先発起用された選手になるが、いずれも出場時間はごく僅か。大迫の比ではない。

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