福田正博が見た森保ジャパンの2連戦。両CBの出来は大きな収穫。長友佑都の評価は試合終了まで走りきってこそ (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

【長友タイムが見られなかったのが残念】

 中国戦後は低調なパフォーマンスだと多くの批判を受けた長友佑都(FC東京)は、サウジアラビア戦後に評価が一変した。私の印象としては、長友の2試合でのパフォーマンスやプレーは、現状の力をしっかり発揮したというものだ。

 選手の個性を考えないで、仕事ができたか否かを見ると評価は一変してしまう。中国戦は日本代表が一方的に押し込む展開になったことで、長友には攻撃面でスペースのないところで足元にボールを受けて、個人技で仕掛けてクロスを入れるといった、比較的得意ではないプレーが求められた。

 しかし、サウジアラビア戦は相手も攻撃に出てきたので、長友らしい守備での粘り強さを出せたし、攻め上がるスペースが生まれて、アップダウンを繰り返すプレーが見られた。長友が得意とするところでの仕事ぶりと、前戦での批判を糧にしたかのような姿勢もあって、評価が高まったのだろう。

 私としては、長友のひとつひとつのプレーよりも、この2試合でも"長友タイム"が見られなかったのが残念だった。

 彼が代表デビューしてから長きにわたって、運動量が目立つ時間帯があった。70分を過ぎてほかの選手たちの足が止まり出しても、長友だけは今しがたキックオフしたかのように走り回る。あの無尽蔵のスタミナこそが長友の最大の持ち味だ。

 しかし、最近はその長友タイムを迎える前に交代となっている。これは森保一監督監督やコーチ陣の、長友のスタミナに対しての評価ということだ。私はここでの評価こそ長友に覆してほしいと思っている。

 試合開始から左サイドで何度アップダウンを繰り返しても、試合終了までしっかり走りきる。加齢とともに体力が落ちるのは当たり前で、キツイことだと理解しているが、この土台こそが長友の真骨頂。ここから始まるJリーグでもう一度、あのスタミナを取り戻してくれると期待している。

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