長友佑都、批判を封じた「不屈さ」。だが、日本代表の左サイド問題は解決したのか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

【中山雄太とはプレー強度で差が】

「守備の安定が攻撃を作る」

 森保一監督の理念をやり遂げたとも言える。

 前半45分、谷口彰悟が左に釣り出された場面では、長友はポジションをカバーしてクロスをブロックしている。まさに歴戦のディフェンダーの集中力だった。終了間際には、攻め上がったあとの相手GKのキックに誰よりも先に反応し、力強く跳ね返していた。

 後半に入っても、長友は激しい寄せでアルムワラドを封じ、後半10分には交代でピッチから追いやっている。それはひとつの勝利だった。

 長友は終始、"不屈さ"という彼らしさを見せた。

 たとえば後半13分に攻め上がるタイミングが早すぎ(左サイドのこの傾向はここ数年、顕著に見られる)、南野から受けるパスがずれ、タッチラインを割ってしまう。しかし直後、相手選手の前に出てボールをカットし、攻撃につなげた。1分後にもスローインから裏に出したパスが敵に渡ったが、高い位置でしつこくプレスに入り、相手ボールを引っかけて取り返している。

 ミスは目立ったが、リカバリーする執念と集中力を見せた。

 後半23分、雄叫びを上げながら中山雄太と交代でピッチを去るまで、戦う姿勢を示していた。ベンチでも声を出し続け、それは代表選手の鑑だった。

 ただし、長友のフル出場は昨年9月、敗れたオマーン戦が最後となっている。最近4試合は後半途中でバトンタッチ。バックラインの選手が交代で入るには難しさがあり、"完投"できないのは厳しい現実だ。

 長友への評価が手のひら返しのように高くなった理由は、交代で出場した中山のプレーにも一因があるだろう。

 中山はきれいなインターセプトを何度も見せていた。読みのよさ、賢さの証だろう。ボールを運ぶ技術も高く、左足でのキック精度も高かった。ただ、いい位置でボールを受けたあとに迷った末に奪い取られたり、敵FWに簡単に入れ替わられてピンチを作られたり、単純に寄せが甘くて相手にボールを運ばれたり、長友と比べるとプレー強度で差が出た。

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