日本代表は伊東純也と一蓮托生か。サウジ戦勝利も根本的問題は変わらず (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

【なぜ伊東純也を最後までピッチに立たせたのか】

 なにより、活躍した伊東を、最後の最後までピッチに立たせておく理由がわからない。伊東がいなければ、勝てたかどうか怪しい試合だ。2-0でリードした終盤は、伊東以外に使えそうな選手を探るには絶好の機会だった。伊東が故障した時、調子を崩した時、相手に徹底的にマークされた時、現状では他の選択肢は見えない。日本代表が伊東と一蓮托生の間柄でいいはずがない。

 4人目の交代選手として原口元気が投入されたのは後半45分。ベンチに下がったのは遠藤航だった。守田英正がこれに伴いアンカーに下がり、インサイドハーフに原口が入ったわけだが、なぜ、堂安律、久保建英の前に、30歳のベテランが、しかもインサイドハーフとして出場するのか。

 先制点はマークしたものの、その他のプレーは相変わらずイマイチだった南野に代え、浅野拓磨(27歳)を3人目の交代選手として投入していただけに、順番的な疑問はなおさら残る。

 オミクロン株が猛威を振るうなか、多大なリスクを犯し、海外から代表チームに参加した選手との信頼関係を確かなものにするためにも、交代枠を余したまま試合を終えてはいけないのである。できるだけ多くの選手を使い、出場時間を分割しながら勝利を追求する。この精神なしにW杯ベスト8は望めない。

 繰り返すが、「次を見越してやることはできない。日本が世界の中で勝っていくためには1試合1試合、フルで戦いながら次に向かうことが現実的」との発想では、早晩行き詰まる。なによりサッカー的な発想ではない。非サッカー的なコンセプトを日本代表チームに適用するなと言いたくなる。

 サウジアラビアに2-0で勝っても、根本的な問題は動かぬままだ。

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