森保ジャパンの連動攻撃は壊滅状態のデータ。攻守のバランス未解決でサウジアラビア戦へ (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【ダイレクトパスもつながらない】

 前節オマーン戦では、停滞する攻撃を活性化させるべく、後半開始から三笘薫を左ウイングに起用し、布陣を4-2-3-1に変更。三笘のドリブルの仕掛けが打開策となり、終盤の伊東の決勝点につながった。

 組織的攻撃が行き詰っている時の特効薬は、個の打開力だ。しかし三笘が負傷欠場している今回、その手は使えない。そこで森保一監督が打った手は、後半早々の58分、大迫に代えて予選初出場の前田大然、左SB長友に代えて中山雄太という2枚代えだった。

 しかし、中国の守備ラインが低く、前線にスペースがない状況では、前田のスピードを生かした攻撃は繰り出しにくい。その結果、前田の起用効果は前線のチェイスで相手DFにプッシャーを与えた程度にとどまり、攻撃の活性化にはつながらなかった。

 幸い、出場直後の61分に中山が自らのスローインからリターンを受け、美しいピンポイントクロスを供給し、伊東がヘッドで追加点。セットピース2つをものにして2点をリードすることができたため、攻撃の問題はそれほどクローズアップされずに終わった。

 だが、敵陣でボールを握っても、なかなかいいかたちでフィニッシュにつなげられない現象は、今回の試合でも改善されなかった。

 森保監督が布陣を4-2-3-1に変更したのは、73分のこと。久保建英をトップ下に入れる代わりにベンチに下げたのは遠藤だった。この交代策は、遠藤の累積警告を回避する目的が色濃く、攻撃の活性化を狙ったものとは言えなかった。

 ただし、攻撃にわずかな変化が見えたのも事実。布陣変更前の後半約30分間で記録した敵陣の縦パスは4本だったが、変更後の約20分間で6本に増加(アディショナルタイム含む)。クロスは7本から2本に減少したが、縦パスの受け手が増えて中央攻撃が少しだけ活性化し、3本のシュートにつながっている(守田、久保、堂安律)。

 いずれにしても、4-3-3に変更して以降の日本は、以前から指揮官が公言していた連動した攻撃はほぼ消滅状態になっているのが実情だ。この中国戦でダイレクトパスが2本以上続いた攻撃は、後半12分の1回。右サイドで遠藤からのパスを受けた伊東が、南野とのワンツーで抜け出してダイレクトで折り返し、ニアで大迫がダイレクトで合わせたシュートシーンのみだ。

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