日本代表のコンビネーション不足は中国戦でも明らか。森保監督はいつまで放置するのか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

【伊東のウイングプレー以外、見るべきものはなかった】

 変えたのは、右サイドバック(SB)を山根視来から前回は故障で外れた酒井宏樹のみ。変えたというより戻しただけだ。

 次戦の相手サウジアラビアは、中国とは比較にならない強敵だ。この大一番に、森保監督はどんなスタメンを送り込むつもりなのか。いまから見えてしまっている状態だ。中国戦とほぼ同じになるだろう。半端ない行き止まり感に襲われる。

 保守的というより、中国を必要以上に恐れ、動けなくなってしまったという印象だ。アタッカー陣を1人か2人、前回となぜ入れ替えなかったのか。その余裕のなさが、チーム全体に硬さとなって波及している。勢いが生まれない原因だと見る。

 中国戦。心配された後ろ(CB)が大丈夫そうなこと、中国に反発力がないことは早々にわかった。あとは攻撃あるのみだった。惜しいチャンスはそれなりにあった。しかし、惜しい以外の何ものでもなかった。決定的なチャンスを外した場合に感じる"惜しい度"を100とすれば、大迫勇也が前半8分、28分に放ったシュート、南野拓実が20分に放ったシュートなどは、さしずめ50以下だ。シュートが決まらなくても、特に落胆しないチャンスと言えた。

 日本には伊東のウイングプレー以外、見るべきものはなかったのである。露呈したのはコンビネーションプレーが存在しないことだ。いつものメンバーで戦っているのに、息が合っていない。伊東のウイングプレーにしても7割方は単独プレーだ。右SB酒井、右インサイドハーフ田中碧らの息の合ったパス交換で、数的有利な状況を作るなど、計算された崩しはできず終いだった。

 左はもっと酷い状況だ。深くえぐる手立てがない。南野はウイングの役を果たそうとせず、真ん中付近でプレーするので、長友佑都がひとりで左サイドをカバーすることになる。だが、残念ながらそのスケールは小さい。馬力、パンチ力も低下している。さらに言えば、左利きではないので、伊東のようにライン際まで深く侵入し、折り返すプレーを披露できない。

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