パリ五輪の秘密兵器となるか。海外で14試合16ゴールを量産した18歳の日本人ストライカー (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

――そんな違いがあるなかでも、得点を量産できた要因は何ですか。

「チャンスがあれば縦へ行こうとするので、自分が(DFラインの)裏にアクションしたら、簡単に蹴ってくれるんです。うまく相手の前に出て得点を決めることも多かったですし、そういうやり方が自分に合っていたっていうか、自分の特長がうまく生きたことで効率よく点がとれたんだと思います。

 ただ、裏に抜ければ、シュートを打ちきるところまでいけるのですが、3部リーグでもGKのレベルが意外と高くて、長身でセービングがうまい。『あ~、それが止められるのか』っていうシュートも結構ありました」

――実際に移籍してみて、海外でプレーするのに必要なことは何だと思いますか。

「プレーで頑張るのはもちろんですけど、やっぱり仲間とコミュニケーションがとれないとダメだなって思います。だから、重要なのは言葉ですね。自分は英語もそんなにできるほうじゃないんで。

 今考えると、学校で英語の授業を真面目に受けていたほうがよかったなって、めちゃめちゃ思います(苦笑)。自分は授業をちょっと軽く見ていたというか、本気でやっていなかった。もっとしっかりやっておけば、英語ももうちょっと話せたのかなって。

 今は2部練習がない午前中に週3回、ドイツ語のレッスンを受けているので、どっちかっていうと、今ならドイツ語のほうが少しできると思います」

――ヴァッカー・インスブルックIIのモラス雅輝監督(今季途中まで指揮。現在はトップチームを指揮)は、日本語を話せますよね。

「それは、めちゃくちゃ大きかったと思います。試合中もチーム全体への指示はドイツ語なんですけど、自分には日本語で言ってくれるので。そうでなければ、指示がわからないことも多かったと思います。前に一度、試合の途中で選手交代があった時にフォーメーションも変えたんですけど、自分だけそれがわかっていなくて、違うことをしていたっていうこともありましたから」

――違う環境でプレーしてみて、自身のプレーに変化はありましたか。

「いろんな形で点を決めてきているので、得点のバリエーションは増えたと思います。日本だったら、こんなゴールはなかったなっていうゴールもありました。今日はこういう角度からゴールができたなとか、シュートレンジが広がったなとか、新たな発見があるので面白いなと思います。

 でも、今の自分の課題としては、こっちでは全然読めないタイミングでクロスが入ってきたりすることもあるので、予測もそうだし、センターバックとの駆け引きとかも含めて、それにうまく合わせられるようになればな、と思っています」

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