バスに3時間閉じ込められても「苦でもなかった」。福西崇史にとって最も印象深い大会とは?

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AP/AFLO

「見ている人たちはPK戦の印象が強いから、(準々決勝の)ヨルダン戦が一番なんでしょうけどね(笑)。実際、僕もPKのエンドが変更されて、その最初のキッカーだったので、思い出深いです。もう1本も外せないし、めっちゃ緊張しましたから。

 でもそれだけでなく、僕にとっては、いろんな経験をさせてもらった大会だったので、すべてが印象に残っています」

 グループリーグ最初のオマーン戦は、「0-0でプレッシャーがあるなか、シュン(中村俊輔)が1点とってくれて。その後は、もう割り切って(1-0で)勝ちにいった」。

 続く2戦目のタイ戦は、「勝てば決勝トーナメント進出が決まるので、酷暑のなかでどうやって体力を温存しながら戦うかを考えながら、(4-1で)勝つことができた」。

 グループリーグ最後のイラン戦では、「初めて両チームとも攻めない試合を経験しました(0-0の引き分け)。最初は普通にバチバチやっていたのに、後半の途中からいきなりそういう雰囲気になって(苦笑)。試合の途中で、もう終わりにできないかなと思いましたからね」。

福西崇史が思い出に残る大会として挙げた2004年のアジアカップ。地元・中国との決勝では福西(写真中央)が先制ゴールを決めた福西崇史が思い出に残る大会として挙げた2004年のアジアカップ。地元・中国との決勝では福西(写真中央)が先制ゴールを決めたこの記事に関連する写真を見る そして、いよいよ大会はクライマックスへと向かっていく。

「準々決勝のヨルダン戦(1-1からPK勝利)にしても、準決勝のバーレーン戦(延長戦で4-3の勝利)にしても、退場者が出たり、リードされたりして、『これ、負けんじゃねぇか?』っていうなかでも、最後は勝ちに持っていけた。

 決勝の中国戦(3-1の勝利)は、スタジアムには(バスで)スムーズに入れないし、(試合前の)国歌なんて聞こえないし。その分、自分たちの士気は余計に高まりました。(自らのシュートで先制)点が入った時は、『本当に入ったのかな?』って思うぐらい、スタジアム全体がシーンとなりましたからね。気持ちよかったですよ」

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