福西崇史が選んだ日本代表ベストゲーム。「強豪ドイツが焦っているのを見て楽しくプレーできた」

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 なぜドイツが、自分たちの立ち位置を知る物差しとなるのか。

 その前提にあったのは2004年12月、同じドイツと横浜で対戦した親善試合である。結果は、日本が0-3で完敗。それから1年半を経て、日本代表がどれだけ成長したかを知るには絶好の機会だったわけだ。

「あの(前回対戦の)時はチームもそうだし、自分自身も何もできなかったっていう感覚がありました。それがあっての本番前での対戦だったので、よりドイツを意識した部分がありました。

 強豪チームとやる時は、ずっと守備しなければいけなくなるっていうイメージはあったけれど、それでもやっぱり点をとりにいきたいし、勝ちにいきたい。そういうことをチームでも話していました」

 と同時に、福西個人にとっての重要なテストマッチでもあった。

「個人的にはテストというか、この試合でうまくいったら(ワールドカップでも先発で)いけるだろうなっていうのはもちろんあった。でも、ここでできなかったら、代えられるのは当たり前。本番で試合に出るために、自分のなかでもすごく大事な位置づけの試合でした」

 試合会場となったバイヤー・レバークーゼンのホームスタジアム、バイ・アレナが季節外れの震える寒さに見舞われるなか、重要な一戦は始まった。

「(日本の選手)みんなコンディションがよく、最初から体が動いたし、動きもきれていた。意外と......っていうか、『あ、できるな』っていう手応えをつかみながら、『じゃあ、この試合をどう持っていったらいいのか』。入りの段階では、そういうことを考えていました」

 日本の布陣は3-5-2。2ボランチの1枚を務める福西は、いつものように味方との距離感に注意を払いながらプレーを続けていた。

 2ボランチのパートナーとの距離感、DFラインとの距離感、そして、攻撃的MFも含めたFWとの距離感である。

「どうバランスをとるかが、僕ら(2ボランチ)の役目でしたから。それにプラスして、僕はどちらかというと、後ろとの距離感を意識する役目が多かったので、そこは特に注意していました。

 手応えをつかみながら、であったのは確かですけど、状況は試合のなかでも大きく変わるので、ドイツ相手にどうすればいいかなっていうのはずっと頭にありました」

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