悩みに悩んだ日本代表ベストゲーム。駒野友一のなかで鮮明な記憶として残っている2試合とは? (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Jinten Sawada/AFLO

 この試合、実は早い時間から初ゴールが生まれそうな"予兆"があった。伏線となっていたのは、先制点のアシスト――右からのクロスを、ゴール前で待つハーフナー・マイクにドンピシャのタイミングで合わせた――である。

 8-0という大差がついた試合でのことだけに、駒野は「相手も相手だったので」と照れ笑いを浮かべるが、リズムよくプレーできていた記憶は鮮明だ。

「マイク(の高さ)は飛び抜けていますけど、あまりフワッとしたクロスになりすぎてもヘディングするのが難しくなるので、意識としてはあまり高さもスピードも変えず、完璧なクロスを合わせられた。それ以外にも何度かチャンスを作れていたので、初ゴールの予感......というわけではないですけど(苦笑)、『今日は調子がいいな。チャンスは絶対に来るな』とは思っていました」

2011年10月、ブラジルW杯アジア3次予選のタジキスタン戦で代表初ゴールを決めた駒野友一2011年10月、ブラジルW杯アジア3次予選のタジキスタン戦で代表初ゴールを決めた駒野友一この記事に関連する写真を見る 記念すべき代表初ゴールは、相手DFがはね返したボールを拾ってのミドルシュート。駒野らしい強烈な一撃は、「今でも感触が残っています」。

 いかにサイドバックといえども、さすがに出場試合数が増えてくると、「得点を入れていなかったので、ちょっと気になっていました」と苦笑い。「早く決めたいなという気持ちは常にあった」なかで、ようやく生まれた待望の初ゴールだった。

 駒野がこれまでに記録した国際Aマッチでの通算得点は1。つまりは、この時の1点がすべてなのだが、「ゼロと1では、全然違います(笑)」。長く日本代表でプレーしたからこそ手にできた、誇らしい勲章である。

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