悩みに悩んだ日本代表ベストゲーム。駒野友一のなかで鮮明な記憶として残っている2試合とは? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Jinten Sawada/AFLO

 当然、これだけ多くの日本代表戦に出場していれば、記憶に残る試合は数多い。

 駒野は今回、(この取材が始まる直前までかなり真剣に)悩みに悩んで「チームにとっての勝利の価値という意味で」2010年ワールドカップのカメルーン戦をベストゲームに挙げたが、「個人的に結果を出したという意味で」印象に残っている試合は、他にもいくつかあるという。

 まずは、自身のA代表デビュー戦となった、2005年東アジア選手権での中国戦だ。

「あの大会には国内組だけで行っていたんですけど、最初のメンバー発表では選ばれていなくて、ケガの選手が出たことで追加招集されて初代表になったんです。

 その時に2戦目の中国戦に初めて出て、納得のいくプレーができたからこそ、その後の(海外組が加わった)日本代表にも選ばれるようになった。(翌年の)ワールドカップに行けたのも、あの試合でインパクトを残せたからだと思います」

 当時、初めてのA代表に挑む駒野が口にしていたのは、「右サイドバックで勝負したい」ということだった。

「僕は右利きなので、右サイドバックと左サイドバックではプレースタイルが変わるところもあるし、左も自信はありますけど、右のほうがクロスだったり、シュートだったり、その精度は左よりも高いのは自分でもわかっていた。ポジションを争うなら右サイド、とは思っていました」

 結果、翌年のワールドカップに間に合ったばかりか、その4年後にも2度目のワールドカップ出場を果たすのだから、駒野は自らの武器を正しく理解し、正しい決断を下したことになる。

「初招集された時は、もう(日本は翌年の)ワールドカップ出場が決まっていたわけですし、本大会まで残り1年を切っていた。そこからメンバーに選んでもらえたということは、練習でも、試合でも、ジーコ監督の満足いくプレーを出し続けたからじゃないのかなと思っています」

 そしてもうひとつ、駒野の記憶に強く残る試合が、2011年に行なわれたワールドカップ3次予選のホームでのタジキスタン戦。自身が代表初ゴールを決めた、記念すべき試合である。

「この試合は、ゴールもそうですけど、クロスからアシストも2本できて、全部で3得点に絡めた。多くの結果を残せた試合でした」

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