日本代表は外国人監督の招聘を視野に入れないのか。これだけいるフリーの有力候補者たち (2ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by L'EQUIPE/AFLO

【かつてJFAが接触した候補者も】

 もちろん、欧州ビッグクラブからの誘いが絶えないジネディーヌ・ジダン(フランス)、指導キャリアが始まって間もないフランク・ランパード(イングランド)、あるいはバルセロナの監督を解任されたばかりのロナルド・クーマン(オランダ)といった、現在フリーの有名監督を招聘したいと言っても、実現性は薄いだろう。

 ただ、外に目を向ければ、世界には優秀な監督がごまんといるのも確かで、JFAの考え方次第で、十分すぎるほどの選択肢がある。

 たとえば、ロシアW杯後に就任の噂があった元ドイツ代表監督のユルゲン・クリンスマンもそのひとりだ。2011年から約5年にわたってアメリカ代表監督を務め、W杯で指揮した経験もあり、去年2月にヘルタ・ベルリンの監督を解任されてからは、現在もフリーの状態が続いている。

 あるいは、日本のPR会社とマネジメント契約を結ぶアンドレ・ビラス・ボアス(ポルトガル)も、実現性という点も含めてリストアップして然るべき監督だ。最後に指揮を執ったのはマルセイユ(フランス)で、辞任した今年2月まで酒井宏樹と長友佑都の2人を指導していたこともプラス材料。

 まだ44歳という若さだが、ポルト、チェルシー、トッテナム、ゼニトといった強豪を率いた経験もあり、1年間だけだが、上海上港(中国)の監督を務めた実績もある。戦術的バリエーション、国際経験といった部分でも、候補者に値する指導者と言えるだろう。

 そのつながりで言えば、ビラス・ボアスの前にマルセイユを率いたルディ・ガルシア(フランス)も、今年の5月にリヨンの監督を退いて以来、フリーの状態だ。かつてル・マンを率いた時代に松井大輔を指導したこともあるガルシアは、欧州トップランクの指導者とは言えないものの、攻撃的サッカーを標ぼうする実力派。招聘のハードルは、そこまで高くないと思われる。

 一方、監督大国のスペインに目を向ければ、食指を伸ばしたくなるような、フリーの監督は多い。

 特にかつて南アフリカW杯後にJFAが接触したこともあるといわれるエルネスト・バルベルデは、2020年1月にバルセロナ監督を解任されて以来、現場から遠ざかっている。アスレティック・ビルバオを皮切りに、エスパニョール、オリンピアコス(ギリシャ)、ビジャレアル、バレンシア、バルセロナと、数々の名門を指揮した経験は大きな魅力。バルセロナつながりで、アンドレス・イニエスタに説得してもらうという手もありか。

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