日本代表メンバー発表で最大の問題が明白に。「ポスト大迫勇也」をどうすべきか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

【前田大然に大迫の代役は可能か】

「大迫勇也」である。ポストプレーができる本格派ストライカーが、大迫ひとりしかいない日本の現状が、改めて浮き彫りになる。大迫がまだ若く、2018年ロシアW杯当時のように右肩上がりの状態にあるならともかく、下り坂に入ったかに見える現在、4年数カ月前と同じ役をこなすことには無理がある。中3日程度の間隔で、4、5試合連続、後半のなかば過ぎまでスタメンを張る力は、いまの大迫にはない。

 代役が務まりそうな選手は、少なくとも今回、選ばれた国内組の中には存在しない。掘り起こしてみたものの、出てこなかった。初めて代表に招集された小柏は、大迫とは対極に位置するFWだ。比較的近いのは上田になるが、いまの上田に代表でスタメンを連続して張るだけの力はない。2018年当時の大迫を10とすれば、現在の上田は7か8だ。ブンデスリーガの中位クラブで活躍できるレベルにはない。

 前田、古橋亨梧(セルティック)、浅野拓磨(ボーフム)らのほうが力的には上だろう。スピード系のウイング兼ストライカーたちだ。しかし彼らを1トップで使えば、サッカーそのものを変える必要が生まれる。

 今季、横浜FMで23ゴールをマークし、レアンドロ・ダミアンとともに得点王に輝いた前田がCFとして出場するのは、CFとしてスタメンを張るレオ・セアラがベンチに下がった後だった。大半の時間、CFのポジションには本格派ストライカーが立っていた。前田はつまり、大半の時間をウイングでプレーしながら、川崎フロンターレの本格派ストライカーと得点王のタイトルを分け合ったわけだ。

 そこに価値を感じるが、最初からCFの位置でプレーしていたら、23ゴール奪えたかといえば、難しかったのではないか。横浜FMという枠組みの中で、前田が長時間、1トップとして活躍する姿を想像することは難しい。レオ・セアラあっての前田に見えた。

 川崎が今季優勝することができた要因も、本格派ストライカー、レアンドロ・ダミアンの活躍があったからだ。トップの位置でボールが収まったことで、そのパスサッカーは円滑に機能した。

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