「日本の攻撃には怖さがない」「何もなかった」。新生なでしこの初戦、ベテラン2人が明かした危機感 (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・撮影 text&photo by Hayakusa Noriko

 若い世代も十分にそれは感じているはずだ。熊谷とセンターバックを組んだ南萌華(三菱重工浦和レッズレディース)は、「いつまでも紗希さんに頼ってばかりいられない」と積極的にキーマンを潰す場面を何度も見せた。

 ボランチで絶妙なバランスを見せたのは林と長野風花(マイナビ仙台レディース)だ。なでしこジャパンの心臓部とまではいかないが、本来チームを牽引する象徴的なポジションで見せた2人のプレーはポテンシャルの高さを感じさせてくれた。若い世代にもベテランに劣らない可能性がある。それをどこまで世界基準に持って行くことができるかが、なでしこジャパンの今後を左右する。

 確かに海外に出ることは強くなるための近道かもしれない。しかし、国内でできることも必ずある。世界に出ていく者、留まって日本特有の技術を培う者ーーどちらの道もあって、その融合こそが唯一無二のジャパンウェイを生むのではないだろうか。2つの道を極めるために必要な条件は本気度。日々鍛錬の場となる所属チームも巻き込むくらいの覚悟で挑まなければ、変化など微々たるものだ。

 逆にその覚悟を所属チームで広げることができれば、WEリーグの発展にもつながり、海外の有望選手がWEリーグに参戦し、さらに豊かな土壌を生む可能性も大いにある。今回の遠征での結果を未来の自分にどうつなげていくのか、若い世代に投げられた大きな問いかけに彼女たちはどう応えるのだろうか。

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