ザッケローニが森保ジャパンのW杯出場に太鼓判も、「試合をドブに捨てるのはもったいない」と評したプレーとは?

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

カタールW杯アジア最終予選特集

 アルベルト・ザッケローニは長きにわたりアジアのチームの監督を務めてきた。2010年にイタリアを離れたあと、まずはサムライブルーを率い、2014年に日本を去るまで、満足のいく年月を過ごした。その後、北京国安を経て、アラブ首長国連邦(UAE)の代表監督も2年。アジアのサッカーをよく知る人物だ。しかし、そのなかでもやはり日本は特別で、いつでも気にかかる存在のようだ。今は遠いイタリアにいても、常に日本サッカーの動向を気にしている。

 そんなザッケローニが、カタールW杯を目指してアジア最終予選を戦っている現在の日本代表について語った。

 今の順位を見ると、サウジアラビアがグループ首位にあることに驚きを覚える。それもかなりのポイント差(2位日本に4差)をつけて、だ。サウジアラビアにもいい選手はいるが、日本とオーストラリアの比ではない。日本とオーストラリアはフィジカル的にも、そしてなによりテクニックにおいても、優秀な選手を数多く擁している。それは紛れもない事実だ。

 一方でこのポイント差も嘘ではない。それではこの差はどのようにして生じたか。たとえば日本の場合は、小さなミスからの失敗が多い。サウジアラビア戦では、不用意で不運なバックパスが相手にわたり、相手のアタッカーに簡単にゴールを許してしまった。こういったプレーは本当に注意すべきだ。そんなことで試合をドブに捨てるのはもったいなさすぎる。

 ただしそうしたミスを是正すれば、日本の実力やプレーが他に劣っているわけでは決してない。だから私は、日本がグループ2位以内に入りダイレクトにW杯行きの切符を手に入れることについては、楽観視している。

 私がそう言いきるにはふたつの理由がある。

アルベルト・ザッケローニがW杯予選のキーマンに挙げた伊東純也 photo by AP/AFLOアルベルト・ザッケローニがW杯予選のキーマンに挙げた伊東純也 photo by AP/AFLOこの記事に関連する写真を見る 日本はほんの少し前まで、かなり危険な状況にあった。しかしその後、ベトナム戦とオマーン戦という重要なアウェーの2試合で勝利した。ベトナムもオマーンもレベル的に日本の敵ではなかったが、この2つの0-1で、日本は危険な状況から脱出した。日本はこの重要な踏ん張りどころで、きちんと根性を見せたのだ。日本にはその気骨がある。それが日本のW杯行きを信じるひとつ目の理由だ。

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