スペインの名指導者が日本代表の戦術的不具合や数々の問題を指摘。「いつか痛い目を見ることになる」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

 南野、伊東純也のプレスからボールを奪っての攻撃や、長友のクロスを伊東が合わせるシーンもあったが、どれも単発に終わっている。

 一方で、守備に関しては、吉田麻也、冨安健洋という二人のセンターバックが強固で、GK権田修一も地味ながらプレー判断(キャッチ、弾く、パス、ポジショニング)がすばらしく、大きな破綻はしていない。とりわけ、冨安のディフェンスは試合を通じて水準が高く、空中戦はスペクタクルだった。日本の左サイドが狙われていたが、見事にカバーしていた」

 エチャリは前半の問題点を端的に指摘しつつ、後半に改善した理由も説明している。

「後半、日本は柴崎に代えて三笘薫を投入し、4-3-3を4-2-3-1に変更した。左サイドに入った三笘は崩し役になれる選手だったが、何より中盤の数的不利を解消した点が大きいだろう。トップ下に入った南野が相手の23番をケア。前半を通して不具合を放置したのは問題だが、システム変更によって攻守は潤滑に回るようになった。

 後半途中には、古橋、中山雄太を投入。これでボールポゼッション率はより高くなり、プレーの奥行きも出た。不調だった大迫勇也は、古橋とのコンビで息を吹き返していた。各選手のポジション交換が活発になって、プレーに多様性が出るようになった。遠藤、田中のダブルボランチも前線と近い距離でプレーできるようになり、攻撃の効率は上がっていた。

 81分、三笘が左サイドを突破し、マーカーの前に入った伊東に合わせた先制点は必然だったと言えるだろう」

 そう語ったエチャリは、日本の勝利を高く評した。一方で、ディテールへの懸念を忘れず、以下のように試合を総括している。

「遠藤に関しては、チームの中心であり、優れた選手として高く評価してきた。しかし、最近は不用意なファウルが少なくない。オマーン戦でも、1枚目のイエローカードをもらったことは仕方がないとして、終盤、本人はプロフェッショナルファウルだと考えているはずだし、事実、審判もファウルの笛を吹いただけだったが、相手の攻撃をファウルで止めた場面があった。審判によっては、もう1枚カードが出ていても不思議ではなかった。

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