日本代表のサイドバックは誰が良いのか。中山雄太、山根視来が存在感を高めている理由 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by JFA/AFLO

 どちらが上というわけではない。タイプの違いである。そして今の日本に合うのは、より現代的なサイドバックとして評価を高める中山なのだろう。

 年齢的な面も含め(あるいは高さも含め)、長友はいよいよ苦しくなった。13年間、微動だにしなかった不動の山が、ついに動くことになるかもしれない。

 一方で右サイドにも、変化があった。酒井宏樹(浦和レッズ)の負傷が影響したとはいえ、この11月シリーズで右サイドバックとして2試合フル出場したのは、山根視来(川崎フロンターレ)である。とりわけベトナム戦では伊東との連係が冴え渡り、右サイドから勢いをもたらした。

 今季のJリーグでは、リーグトップの10アシストをマークし、川崎フロンターレの連覇に貢献。ベストパートナーである家長昭博と生み出す右からの攻撃は、王者の最大のストロングポイントだ。

 伊東と家長とではタイプが異なるものの、今後も4−3−3を採用するのであれば、そのシステムとの親和性が高く、外からのクロスだけでなく、斜めのパスを裏にも通せる山根の存在感はますます高まりそうだ。

「外で見るのと中でプレーするのとでは、天と地ほどの差があるのはあらためて感じました。いろんなリスクを感じながらプレーするのもなかなかできない経験だったので、まずは勝ち点3にしっかり貢献できたことはよかったですし、今後はもっと自分の強みを生かしていきたい」

 そう語る山根もまた、長く右サイドに君臨してきた酒井という不動の山を動かそうとする存在となってきた。

 グループ2位に浮上し、自力でワールドカップ出場が狙える位置まで挽回したとはいえ、いまだ日本には閉塞感が漂っている。しかし、流れは変わりつつある。この聖域なきポジション争いが、日本に新たな風を吹かせることになるかもしれない。

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