森保ジャパン、采配的中の裏に潜むミス。そもそもなぜ悪い流れが生まれたのか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

 しかし、この選手交代が采配的中であるかのように映るのは、裏を返せば、それ以前に悪手を打ち、自ら戦局を悪化させていたから、でもある。

 三笘、中山の投入が流れを変えたのは確かだとして、なぜ彼らは先発で使われなかったのか。

 とりわけ中山は最終予選で途中出場を続けており、すでに先発出場への布石は打たれていたのではないのか。

 また、4-3-3と南野拓実の相性がよくないことは、これ以前の試合でも明らかなのに、なぜ南野先発にこだわるのか。

 Jリーグで好調なFW前田大然、DF旗手怜央が出場どころか、ベンチにさえ入らなかったことにも疑問を感じる。

 代わってベンチに入ったものの、出場機会のなかった海外組に比べ、むしろ武器がはっきりしている分、試合展開によらず、使い勝手はよかったのではないかと感じるのだが、森保監督の考えはそうではなかったようだ。

 せっかく「1チーム2カテゴリー」で強化してきたはずが、結局は「1カテゴリー」しか信用されていない。そんな印象さえ受けてしまう。

 この勝利で勝ち点を12に伸ばした日本は、オーストラリアを抜き、サウジアラビアに次ぐグループ2位に浮上。初戦でオマーンに、しかもホームで敗れる失態から始まった最終予選も、明らかに流れは変わった。

 キャプテンのDF吉田麻也が、「(日本が)苦しみながらも勝ち点3を積み上げて、オーストラリアは引き分け。状況が好転し始めているのは大きい」と話しているとおりだ。

 選手個々の能力で言えば、日本はグループ内でも抜けた存在であり、よほどのことがない限り、今後3位以下に転落するとは考えにくい。ここから先は、一歩ずつワールドカップ出場へと近づいていくだけだろう。

 とはいえ、その歩みにもどかしさを感じるのは、日本が本来の力を発揮できず、勝手にコケている感があるからだ。

 確かに、選手交代が悪い流れを変えた。だが、そもそも悪い流れはなぜ生まれたのか。

 采配的中の裏に潜むミスを見すごすべきではない。

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