スペインの名指導者が日本代表の中盤に苦言。「役割がはっきりしていない」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

 日本の顕著な強さは、空中戦に出ていたと言えるだろう。ベトナムがプレッシングを嫌ってロングボールを蹴り込んできたことで、冨安健洋、吉田麻也が対処することになったが、ほぼ跳ね返していた。前半17分、伊東純也の先制点も、冨安のクリアを遠藤、南野拓実とつなぎ、クロスを押し込んでいる。

 守備に回った時には、ベトナムに攻め手を与えていなかった」

 エチャリは俯瞰した視点から、ディテールを分析する。そして、より高いレベルの相手との対戦に備えて、あえて苦言も呈した。

「言い方は難しいが、右サイドバックは酒井宏樹の不在を強く感じてしまった。

 代わりに入った山根視来は、ディフェンダーとして『最後から2番目の選手』であることを肝に銘じるべきだろう。少なくとも3度、背後を破られる危険があった。高いレベルの相手だったら、どれも失点につながっていた可能性がある。攻撃が持ち味なのかもしれないが、周りの選手とのタイミングをもっと整える必要があるだろう。何より攻撃の厚みを作る以上に、『最後から2番目の選手』としての仕事を優先すべきだ。

 とはいえ、日本のディフェンスは崩されていはいない。

 後半に関しては、ベトナムが高いラインでプレスに出てきたことにより、日本はパスをつなぐことでスペースを作ることもできていた。自分たちのペースを失っていない。途中からはオープンな展開になり、いくつかゴールになってもおかしくないシーンがあったが、スコアは0-1のまま動かなかった」

 そしてエチャリはこの試合を、以下のように総括している。

「日本は攻撃面でいい動きを何度か見せていた。たとえば大迫勇也の動きは決して悪くなく、後半にオフサイドになったシーンも、抜け出しのタイミングは合っていた。伊東、南野とコンビネーションが噛み合う瞬間もあった。

 ただし、攻撃全体が少し正直すぎた。それぞれがもっとポジション的な高さを変え、相手を惑わせ、複合的な動きを見せないと、守りを固めたシステムは崩せない。どうしても前へ、前へと突っ込みすぎていた。

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