森保ジャパンの問題点。格下ベトナムに辛勝、運よく勝ったオーストラリア戦の流れを生かせていない

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Minh Hoang/Getty Images

 両チームの実力差が大きかったため、後半に押し込まれることこそなかったが、だからといって圧倒的に攻め続け、山のように決定機を作り出したわけでもない。

 終わってみれば、得点は前半の1点のみ。この最終予選初の連勝も、オーストラリア戦をきっかけに潮目が変わった、と声高に言えるような試合ではなかった。

 もちろん、予期せぬトラブルの影響はあっただろう。

 ヨーロッパ組が乗ったチャーター機がロシアで足止めを食い、12時間も機内で待たされた挙句、ただでさえ短い事前準備の時間がほとんどなくなってしまった。いかに実力差があるベトナムが相手とはいえ、スカウティングをもとにした最低限の確認事項をチームに落とし込むことすらままならなかったに違いない。

 だが、問題はその後の対応である。

 森保一監督は「試合に向けて"絵"を合わせるのは、選手を変えすぎると難しい作業になる」と判断し、オーストラリア戦の先発メンバーをほぼそのままベトナム戦にも送り出すことを決めた。変更があったのは、負傷のDF酒井宏樹に代わってDF山根視来が入った右サイドバックのみだった。

 つまり、森保監督が就任して以降、日本代表はずっと4-2-3-1をベースに戦ってきながら、1試合にワンポイントで採用した4-3-3を、ここでも継続したわけだ。

 オーストラリアとベトナムでは、実力も戦い方もまったく異なるにもかかわらず、である。

 結果的に、この判断が奏功したとは言い難い。

「(5バックの相手に対して)中にスペースを作ろうと思ったら、幅をとったりしなければいけないが、正直(自分と周りの距離が)遠すぎたかなと思う。ボールを受けても、リズムが出なかった」

 MF守田英正がそう振り返っていたように、選手それぞれの工夫は見えたが、なかなか攻撃のテンポが上がらない。時折、ワンタッチのパスがつながるシーンもあるにはあったが、単発なうえにバリエーションにも欠けていた。

 守田が「(攻撃パターンが)一の矢しかない。単調になってしまい、二の矢、三の矢がない」と話していたが、実に的を射た表現だった。

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