森保ジャパンが好機をつくれない理由。左サイドはメスを入れる必要がある (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by KYODO

 しかし、守田にウイング的なプレーまでは期待できない。左サイドの深い位置に進出し、マイナスに折り返す右サイドの伊東純也的なプレーは望めない。かといって、その後方で構える長友佑都に、守田を追い越し、ゴールライン際に進出していくエネルギーがあるわけでもない。日本の左右両サイドを比較したとき、片肺飛行状態にあることは明白だった。

 くり返すが、これはいまに始まった問題ではない。森保監督がずっと放置している症状である。森保監督も後半18分、南野に見切りをつけ、浅野を投入している。左サイドが機能していないことを認識していたのだろう。同時に、長友と交代で中山雄太も送り込んでいる。さらにその12分後、古橋を投入。前線に高速FW3人を並べた。

 5人の交代枠を使いきれないという問題を抱えていた森保監督だが、この日は無事使いきることができた。しかし5人目として登場した交代選手は原口元気で、ベンチに下がった選手は守田だった。筆者の認識では、守田はこの日、伊東に次いで最も活躍した選手となる。原口をそこでわざわざ起用した意味は何か。「好き」だからだとしか考えることはできない。

 南野と原口。森保監督はこれに久保建英を加えた3人で、これまで左ウイングを回してきた。三笘薫は、五輪代表チームでもスタメンでは起用されなかった。不遇を受けてきたその三笘が今回、ようやく代表チームに初招集された。スピード系というより、足に吸いつくようなドリブルを武器にする技巧派のウイングである。

 スピード系過多のFW陣にあって、新鮮な存在に映る。剛対柔のバランスを維持する上で欠かせない選手。今後に向けてキーとなる選手に見える。ところが、森保監督はそんな彼を結局、使わなかった。「好き」な原口に対して三笘は「好きではない」のか。

 森保ジャパンは、ハリルジャパンほどではないが"硬派"だ。うまさよりスピード、強度を前面に出そうとするサッカーに見える。「我々がやってきたコンセプト」とは、森保監督がよく使うフレーズだが、その一方においてその中身はいっこうに伝わってこない。困った言い回しになるが、その中身はおぼろげに見えている。

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