森保ジャパンのパスはどれくらいつながっているか。ボール支配率が明らかにする歴代日本代表の姿 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Sano Miki

 特に両ウイングと両サイドバック(SB)とのコンビネーションだ。それは森保監督が、代表監督就任前から、もっぱらサイドアタッカー各1人の3-4-2-1を採用してきたことと関係する。サイド攻撃といえば、ウイングバックが単独で仕掛ける攻撃をメインにした。これまで両サイド各2人の攻撃を追求してこなかったツケが、この局面で表れていると考える。5戦目以降、日本のボール支配率はどのように推移していくか。それと日本の成績は密接に関係すると見る。

 前回、ロシアW杯を目指したハリルジャパンは、アジア最終予選で、森保ジャパン以上に低いボール支配率を示した。その10試合の平均値は48%。50%を割り込む結果となった。オーストラリアには、アウェーで66%対34%、ホームで39%対61%の関係を、サウジアラビアに対してもホームで44.5%対55.5%、アウェーで54%対46%の関係を、それぞれ強いられている。

 サイドアタック、プレッシングを追求しなかったからというより、これは縦方向への早い攻撃を追求した結果になる。パスワークを重視する日本サッカーの流れから外れたサッカーをした結果と言える。そのサッカーは、ともするとマイボールを簡単に放棄する雑なサッカーに見えた。ロシアW杯本大会を目前に控えた土壇場で、解任の憂き目に遭った理由のひとつと考えられる。

 縦への早さに加え、ハリルホジッチは「デュエル」にもこだわった。1対1の競り合いの強さ、激しさを、それまで以上に求めた。この流れは、森保ジャパンにも少なからず息づいている。それがボール支配率を上げる要素か、下げる要素かといえば、後者になる。要はバランスの問題になるのだが、その点を強調すればするほど、プレーは荒くなる。

 一方、2014年ブラジルW杯を目指したザッケローニは、高いボール支配率を示すサッカーを展開した。森保ジャパン、ハリルジャパンが劣ったオーストラリアに対しても、結果はホーム戦、アウェー戦とも引き分けながら、支配率ではホーム戦58%対42%、アウェー戦47%対53%という、相手を上回る数字を残している。

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