サッカー日本代表は変われるのか。一本調子でチームが育っている感じがしない理由 (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • photo by Belga Image/AFLO

浅田 ただ、アジアにおける他の国との比較で言うと、逆に、前回の予選の時よりは今回の予選のほうが、他の国がたいしたことないな、というのが正直な印象です。サウジアラビアにしてもオーストラリアにしてもそう。正直、サウジアラビアなんかは、アジアカップ(2019年)で日本がやっとこさ1-0で勝った試合のほうが「ああ、サウジ強いな」と思いました。今回のチームはむしろ粗さというか、ある意味で昔の中東らしさのほうが目立っていました。

 オーストラリアもしかりで。やはりティム・ケーヒルとかがいた時代に比べると、手ごわいライバルという印象はあまり受けません。アジアにおける位置づけみたいなことで言えば、4年前より悪くない。結果と矛盾しているので言い方は難しいのですが。ポテンシャルというか、実力的に言えば、むしろ「安心して見ていられる力関係のはずなのに......」という印象です。

――初戦のオマーン戦から振り返っていただけますか。

杉山 結局、初戦に負けたことが今も尾を引いているわけですが、前回もUAEに負けていて、1敗ぐらいするのはいいのですが、試合内容がしょぼくて、潜在能力があるにもかかわらず、それが表現できてないところにもどかしさを感じます。最終予選が始まるという期待感がなかったのは、選手選考がマンネリ化しているからモチベーションのアップにつながらなかったのではないかと。オマーン戦で先発の選手たちが出ていった時に、何となく溌剌としてないというか、「さあ、行くぞ」的なムードが演出できなかったと思いました。

 もうひとつは、自国開催の東京オリンピックがあって、ずっとそっちに力が入っていて、そのすぐあとに最終予選が始まっても、入り方が難しかったのではないかと思います。僕は兼任監督自体に反対だったのですが、監督自身がオマーン戦に向けて「さあ、行くぞ」的なムードを出せてなかったような気がします。

浅田 森保ジャパンはいわゆる強度の高いプレーでガンガン行くというのを軸にチームを作ってきました。ただオリンピックでもそうだったのですが、強度を求めるわりにコンディションに対する準備がつたない部分を感じます。オリンピックでは、メンバーを固定して疲弊していって、やっぱり強度を保てなくなって打つ手がなくなって最後は尻すぼみになった。オマーン戦でも、みんな動きが重いし走れない。そういう流れがあるから、最終予選の印象がより悪く見えちゃうんですよね。

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