谷晃生が東京五輪で学んだ代表GKの重み「日本のゴールを守ることがどういうことか理解できていなかった」

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

GK谷晃生(湘南ベルマーレ)インタビュー@前編

 与えれば与えられるほど、吸収していく。まるでスポンジのように----。

 湘南ベルマーレのGK谷晃生は、日々養分を吸い込み、日々成長している。そこに限界などないのだろう。

 日本代表の一員として臨んだW杯アジア最終予選も、そのひとつだ。2000年生まれの谷にとって、W杯は「(日本が)出場するのは当たり前に近い感覚」だった。試合に出る機会はなかったが、同じ空間にいるだけで感じられる空気があった。

20歳の谷晃生は今もっとも勢いに乗っているGKのひとり20歳の谷晃生は今もっとも勢いに乗っているGKのひとりこの記事に関連する写真を見る「口にするのもはばかれるほど簡単ではないというか。それくらいアジア最終予選は厳しく難しい戦いだと感じました。それは同じ場所にいて、実際に自分の肌で感じ、目で見たからわかったことでした。

 同時にサッカーをやっているすべての選手が目指す場所だと再認識しましたし、そこにたどり着くためには本当に多くの犠牲が必要だと、身をもって感じました。あの空気感や雰囲気は、やっぱりテレビで見るのと、ベンチから見るだけでも大きな違いがありました。自分にとっては本当に刺激しかなかったです」

 川島永嗣、権田修一という日本を代表するGKと、汗を流しただけでも得たことがあった。

「よくGKには経験が必要だと言われますけど、自分から見てもふたりは数多くの修羅場をくぐり抜けてきた方たちだということがわかりました。ひとつひとつにこだわりを持ってプレーしていることを感じましたし、どこまでそのひとつひとつを突き詰めていくか。自分のなかでもう一度、すべてを見直さなければならないとすら思いました」

 ピッチに立っていた権田からは「相手への圧と自分の距離感や間合いがある」ことを感じた。

「(オーストラリア戦の)試合終了間際に権田さんが相手のクロスに対して出て行ってキャッチした場面があるのですが、そのプレーにすごいなと思いました。(2−1になった)あの状況で、キャッチするのと弾くのとでは全然違う。あそこでGKがボールを持つだけでも、自分たちの時間を稼ぐことができる。そのプレーひとつを見ても学ぶことがありました」

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