攻撃面ではデメリット現象増加。森保ジャパン、付け焼刃の4-3-3は続くのか (3ページ目)
これにより、窮屈なビルドアップを強いられたオーストラリアは、ロングボールで回避するシーンが増えたほか、無理して中央から前進を図ろうとして日本の3ボランチに引っ掛けてボールロストするシーンが見受けられた。
前半8分の日本の先制ゴールも、日本の前線からの守備から生まれた。
南野のプレスを受けた20番が、もうひとりのCB19番に外側から寄せてくる伊東を見てGKにボールを下げると、そのまま伊東がGKまでプレスをかけたことで、慌てたGKがロングキック。ボールは、右SBの2番が受けるものの、23番とのパス交換が乱れたところで守田が回収し、守田からパスをもらってドリブルで前進した南野が左サイドから供給したクロスを、田中がフィニッシュするに至った。
とはいえ、この形が常にハマるわけではなく、相手に自陣まで進入を許された場合、日本は4-5-1の陣形に可変して守備ブロックを形成。とりわけ日本の守備方法をオーストラリアが把握した後半は、この形で守る時間帯が長かった。
一方、この布陣のデメリットを露呈したのが攻撃面だった。
アタッカーが3人しかいない4-3-3では、マイボール時に前線のターゲットとなる選手が従来の4-2-3-1よりも1人少ない。特に中央には大迫ひとりしかいないため、森保ジャパンのバロメーターでもあるくさびの縦パスが激減する現象が起こった。
前半に日本が敵陣で入れたくさびの縦パスは3本のみ。いずれも左ハーフレーンに絞った南野が受けたもので、これまでチーム最大の武器となっていた大迫が中央でくさびを受けるシーンは皆無だった。後半の日本に至っては、1本も縦パスを記録していない。
これにより、これまで森保監督が掲げてきた連動した攻撃を繰り出す可能性もほぼ消滅。唯一、前半44分にダイレクトで細かいパスをつなぎながらゴール前まで進入するという、森保ジャパンらしい攻撃もあったが、それは酒井宏樹のスローインを起点したもの。中央の縦パスを起点に連動した攻撃ではなかった。
その代わりに、頼みの綱となったのがサイド攻撃だった。特にこの試合でカギとなったのが、持ち前のスピードで対峙する左SBの16番を苦しめた右ウイングの伊東と、通常よりも高い位置をとっていた左SB長友佑都の2人だ。
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