日本代表の豪州戦の課題をスペインの慧眼が指摘。「前がかりになった罪」と評したプレーとは?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

カタールW杯アジア最終予選特集

「まず、森保一監督が選択した戦術と、それを運用した日本代表選手たちを高く評価したい」

 スペインの慧眼、ミケル・エチャリは日本がオーストラリアをホームで2-1と下した戦いをそう振り返っている。

 エチャリは、2010年南アフリカW杯では、日本がアンカーを起用することでグループリーグ突破を提唱。2014年ブラジルW杯では「過度の攻撃への自信」に警鐘を鳴らしていた。そして2018年ロシアW杯では、悲観論が渦巻くなか、日本人選手のスピード、技術、コンビネーションを高く評価し、建設的な議論を展開している。そのアドバイスは逐一、的を射ていた。

「オーストラリア戦での戦術的な強度と精度はすばらしかった。ソリッドな攻守でプレーを安定させ、90分のなかでプレーを高めていた。判断が悪いシーンもあったが、多くのコンビネーションが生まれ、好機を作った」

 そう語るエチャリの森保ジャパンへの評価とは――。

オーストラリア戦の後半25分、FKで同点にされた日本代表オーストラリア戦の後半25分、FKで同点にされた日本代表この記事に関連する写真を見る「日本は4-3-3(細かく見た場合は4-1-2-2-1となる)を採用していた。遠藤航をアンカーに起用し、田中碧、守田英正をインサイドハーフに起用した采配は的確だった。とりわけ遠藤、田中の2人はポジションを補完し合い、敵のパスコースを遮断し、味方のパスコースを作っていた。実際、パスカットした場面は多く、トランジションも迅速・円滑だった。

 トップの大迫勇也は中盤と近い距離を保ち、組み立てをサポート。セカンドアタッカーの伊東純也、南野拓実もサイドに張りつかず、攻撃ではインサイドでボールを受け、ダメージを与えていたし、守備でも相手センターバックのボールの出どころを封じていた。サイドでは右が酒井宏樹、伊東で攻守に圧倒、左も長友佑都が高い位置を取って起点を作っていた。

 戦術的に好感の持てるチームだった。技術レベルがもっと高い選手はいるはずだが、各選手がいいポジションを取っていたと言えるだろう。切り替えの意識も高く、プレッシングとリトリートでオーストラリアを上回っていた。日本の持ち味である組織力が際立った。

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