森保ジャパンは勝っても不安だらけ。オーストラリア戦で露呈した過去の失態と現状の危うさ (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

「守田、碧が入って、中盤にタメができ、ボールを持てる時間ができた。それによって、僕自身が高い位置をとれ、南野(拓実)が大迫(勇也)と近い位置でプレーできた」(長友佑都)

「(ボールを)奪ってから速い攻撃もできたし、無理にいかずに遅攻も選べた。後出しジャンケンのように、相手を見て(速攻を)やめることができた」(守田)

 しかし、裏を返せば、この試合での変更は、従来の選手起用がいかにまずかったかを際立たせたとも言えるのではないだろうか。

 日本代表は今年に入り、3月に行なわれた韓国との親善試合を皮切りとして、遠藤と守田のボランチコンビが機能性の高さを発揮していた。さらには、遠藤がオーバーエイジで東京五輪に出場したことで、遠藤と田中のコンビも高いレベルで戦えることが証明されていた。

 にもかかわらず、森保監督は最終予選が始まると、最初のオマーン戦から遠藤とともに柴崎岳を起用。せっかく作ったいい流れを自ら断ち切るような選手起用を行ない、それが裏目に出たわけだ。

 結果、非常にプレッシャーが大きな試合で、実質A代表デビューと言ってもいい田中を起用しなければならなくなったことも含め、オーストラリア戦での変更を"采配的中"のひと言でまとめてしまうことには疑問を感じる。

 また、サウジアラビア戦を踏まえ、選手同士がコミュニケーションを図り、修正を施したという"美談"も、またか、の印象が拭えない。9月の2試合でも、オマーンに不覚をとったあとに修正を図り、中国に勝利。結局は同じことの繰り返しだ。

 オーストラリア戦で、中盤での時間やタメが生まれたことについても、そこには早い時間に先制できたという試合展開が大きく影響していただろう。

 オマーン戦やサウジアラビア戦のように0-0のまま試合が推移していたら、どうなっていたか。オーストラリア戦にしても、先制したあと、うまく時間を使いながら試合を進め、効果的に追加点を挙げて勝利したというならともかく、結局は追いつかれ、幸運な決勝ゴールに救われているのである。

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