日本代表がサウジアラビアに負けていた数々のデータ。柴崎岳のパスミス以外にも負ける要素はたくさんあった (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 日本サッカー協会●写真 photo by JFA

 とくにトップ下の鎌田は、緩慢な動きで形だけのポジションをとるため、その脇を通過した相手センターバックからの縦パスが6本、相手ボランチからの縦パスも3本あった。

 そのパスがハーフスペースに立つ右ウイングの19番、ライン間にポジションをとるトップ下の7番、あるいは攻め上がったボランチの23番につながるため、日本の守備ブロックに穴が空き、中盤の守備も後手に回らざるを得ない状況になった。

 鎌田の特性上、確かにマイボール時には素早く優位なポジションをとれるように意識してプレーするため、前半29分に見せたような一発の決定的スルーパスでビッグチャンスをお膳立てできる。しかしながら、対戦相手が同格もしくは格上となると、そのスタイルが致命傷にもなりかねないことは、肝に銘じておくべきだろう。

 この傾向は後半も続き、サウジアラビアは先制ゴールを決めるまでに、後半も3本の縦パスを成功させている(そのうち鎌田の脇を通過した縦パスは1本)。対する日本は、後半の縦パスは5本に増えたが、過去の試合と比較するとあまりにも少なすぎる。これでは、試合をコントロールすることはできない。

 日本がボールを握れなかったもうひとつの理由は、ボランチのクオリティの差にあった。

 この試合で両チームのダブルボランチがボールを失った回数(相手に渡してしまったミスパスも含む)は、後半73分に退いた柴崎は前半3回、後半5回。フル出場した遠藤航は前半3回、後半2回。柴崎に代わって途中出場した守田英正は1回。

 これに対し、86分までプレーしたサウジアラビアの8番は前半1回、後半1回。フル出場の23番は、前半0回、後半1回。途中出場の6番は、出場時間が短かったこともあって0回だった。

 ボランチとは、ポルトガル語で「ハンドル」を意味する単語であり、つまりチームの運転手、舵取り役を指すサッカー用語だ。そのかじ取り役がボールロストした回数が、日本の14回に対してサウジアラビアが3回だったという事実だけを見ても、サウジアラビアの優位性が見て取れる。

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