日本代表は「終わる」のか。迅速な監督交代が必要なこれだけの理由 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by KYODO

 実際、この試合で、長友は南野のポジションに何度進出できただろうか。左ウイングの位置から深い位置へ何度進出することができただろうか。日本の攻撃はもっぱら右サイドに偏っていた。浅野拓磨、酒井宏樹(右)と南野、長友(左)の関係は、明らかに左右非対称だった。相手はそこ(南野のポジション)にボールを持ち出すことで、ひと息つくことができていた。支配率が上がる要因だった。

 プレッシングサッカーの原理原則からも大幅に逸脱したこの南野のポジショニングを見て想起するのは、ザックジャパン時代の香川真司だ。4-2-3-1の3の左を任されながら、気がつけばトップ下へふらっと移動していく動きと、それはまさに瓜二つだ。2014年ブラジルW杯の初戦コートジボワール戦で奪われた2失点は、その香川が空けてしまったポジションを、相手の右SBに有効に使われた結果だった。数的不利に陥った日本の左サイドが、失点の起点になっていた。

 左ウイング=南野はミスキャストである。だが、1トップ下には鎌田大地がいる。最初にこのポジションを掴んだのは南野だったが、鎌田の台頭で左に押しやられた格好だ。この試合をケガで欠場した久保建英が復帰すれば、1トップ下周辺はいっそう混沌とする。交通整理が必要になる。

 14-0で勝利した今年3月のモンゴル戦で、森保監督はおよそ30分間、4-3-3のインサイドハーフに鎌田、南野を同時に並べている。このサウジアラビア戦は、そのアイデアを敢行するいい機会だったはずだと思われた。

 後半ロスタイムに、暢気に左SB同士の交代をしている場合ではないのである。森保監督の頭の中にイメージされているサッカー観は、残念ながらとても貧しく感じる。

 残されたのは7試合。いや、このB組で3位となりA組3位と争うプレーオフに進めば、戦いはさらに長くなるものと思われる。だが、森保監督の貧しいアイデアでは、日本は本当に終わってしまう。今後の茨の道を乗りきることは難しいと考える。決断は迅速に行なうべし、である。

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