ザッケローニが選ぶ日本代表のベストイレブン。「真の戦士」と絶賛したのは? (2ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 もうひとりは今野泰幸だろう。彼のポジションはディフェンスだが、実際には中盤の選手のような働きもしてくれる。パスがうまく、彼のプレーを見るたびに、私はフランコ・バレージのことを思い出していた。不安そうな表情を見せることはほとんどなく、いつも冷静で正確なのは、彼の大きな才能のひとつだと思う。本当にいい選手だと思う」

――中盤に移りましょう。ひと口に中盤といっても、オフェンシブ、ディフェンシブといろいろあるとは思いますが......。

「中盤はバラエティーに富んだポジションで、右、左、センターなどとはっきり分けることはできない。だが、とにかくまずは遠藤保仁だ。典型的なレジスタで、チームの頭脳、日本版アンドレア・ピルロといえる。彼にこれと決まったポジションはなく、中盤のどこでプレーしてもすばらしい働きを見せてくれた。

 そして我がキャプテンの長谷部誠、彼は真のリーダーで、とにかく非常に聡明だ。常にバランスがとれており、レベルの高さを見せ、闘志にあふれている。10メートル前方に陣取ったカイザー・(フランツ・)ベッケンバウアーと言ってもいいかもしれないね」

――それはまたすばらしい褒め言葉だ。彼もそれを聞いたら喜ぶでしょう。攻撃的な選手はどうですか。

香川真司だね。彼はぎりぎりで私のトップ11に入った。なぜなら相対的に見ると、それほど多くのゴールを決めたわけではなく、2桁いくことはなかった。大会で勝つのはやはり多くゴールをするチームであって、よく言われるような失点が少ないチームではない。それでも香川はスピードがあって、敵をかわすのがうまく、並外れたテクニックを持ったクロッサーだ。

 中田英寿を外すことはできないだろう。彼はテクニックにおいてもフィジカルにおいても本当に強かった。常に全力で戦い、疲れることを知らない。いつも多くの解決策を持っており、敵にとっては実に嫌な相手だっただろう。彼のゾーンはハーフウェーラインから上。私は彼の監督であったことはなかったが、もし手元にいたら決して彼を外すことはなかっただろう。

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