ジーコジャパンを土壇場で救った大黒将志の劇的ゴール「パスが来る確信があった」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by REUTERS/AFLO

 年明けの2005年1月に始まる日本代表合宿へ向け、年末に発表された代表メンバーに大黒の名前はなかったが、自身は「代表はあまり気にしてなかった。『これで選ばれへんのやったらしゃあないな』みたいな感じだった」。

 ところが年が明け、ふいに受けた1本の電話が状況を一変させた。電話の相手はガンバ大阪強化部の梶居勝志。「代表に選ばれたからな」。負傷で日本代表離脱が決まった久保竜彦に代わる、追加招集の知らせだった。

「ちょっとビックリしたのを覚えています」

 大黒はそう言い、「でも」とつないで、当時を振り返る。

「僕、オフの時はいつもそんなに休み倒している感じじゃない。わりと走ったりしているほうなんで、合宿に合流したあともフィジカル的なコンディションがすごくよかったし、代表の選手たちもすごく優しかったんで、すんなり入れました」

 ひと足遅れで合流した初めての日本代表。大黒がそこで強く感じたのは、「ホントにうまい選手ばっかり」だったことだ。

「僕がゴールするためには味方の特長を知るのがすごく大事なので、特に中盤の選手の特長をつかもうとしたんですが、(小笠原)満男さん、ヤット(遠藤保仁)さんと、ホントにいい選手ばかりでやりやすかった。オフサイドにならないように――それだけ気をつければ、自分のタイミングで動き出すだけでパスは出てくる。あとはシュート練習をして、来たチャンスを決められるように準備しておくだけっていう感じでした」

 のちに詳述する北朝鮮戦では、海外組の中村俊輔は試合前日、同じく高原直泰は2日前に帰国するという強行日程でのチーム合流だった。つまりは、大黒はほとんど一緒に練習する機会がなかったのだが、それでも「不安はまったくなかったです」。

「あれぐらいうまい選手になると、こっちがほしいところに絶対ボールが来ますし、わかり合える。(中村)憲剛とかもそうですけど、ああいう人たちは、顔が上がっている状況の時にこっちがいい動きをすれば、絶対ボールが出てくるんで、そりゃ、やりやすいですよね」

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