ノジマステラ神奈川相模原で注目の松原有沙。チームを「W杯で優勝したなでしこジャパンのようにしていきたい」 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Aflo

「そうですね。なでしこ(ジャパン)はメディアで注目されますし、テレビでも試合が放送されるので、たくさんの人に見てもらう機会がある分、そこで女子サッカーがこんなに面白いんだって思ってもらわないと、リーグにつながらないのかなと思います」

 松原は、19年、20年になでしこジャパンに招集されてプレーし、国際Aマッチ4試合を経験しているが、それ以降、代表を離れている。かつてはU-17W杯に出場するなど、カテゴリー別代表でプレーした経験を持ち、当時のメンバーには長谷川唯、清水梨紗らがいる。

「U-17 W杯ではいい経験をさせてもらったんですが、悔しさもありました。グループリーグである程度、勝てる試合には出させてもらったんですけど、ここが勝負という試合には絡めなくて......。決勝トーナメントのガーナ戦には出たかったですね。ガーナはスピードが違うし、足の長さも違って爆発的な力を見せつけられました。そういう試合に自分がもっと絡んでいきたいと思うようになった大会でした」

 松原がU‐17W杯に出場したのが2012年だ。あれから9年が経過し、代表については、どう考えているのだろうか。

「代表に入ることでチームを知ってもらうキッカケになりますし、知名度も上がると思うので、そこに貢献していけるようになりたいですね。ただ、代表に入るには、チームで結果を残さないといけないので、まずはチームに集中して、代表、代表と気負わずにやっていきたいと思っています」

 チームの目標は、「優勝」だ。

 松原は、優勝を念頭に置きながらも試合は「こだわりを持って戦っていきたい」と言う。

「優勝が一番の目標ですが、今年、開幕前の練習試合で得点がとれないなか、WEリーグ開幕前に外国人選手が入ってきてくれました。攻撃のバリエーションが増えたと思うので、失点をゼロに抑えつつ、得点にこだわって勝ち試合をひとつでも増やしていきたいと思います」

 プレシーズンマッチは4試合1得点13失点で全敗だった。

 だが、開幕戦ではアウェーでマイナビ仙台レディースの攻撃を粘り強い守備で跳ね返し、スコアレスドローで勝ち点1を獲得した。2戦目の三菱重工浦和レッズレディースには敗れたが、これから勝ち試合を重ねていけば自然と上が見えてくる。上位争いをして盛り上がれば、スタジアムに足を運ぶファンがさらに増えるだろう。そうして共鳴してくれる輪を広げていけば、地域に欠かせないクラブになる。その先、松原は、あるチームをノジマステラ神奈川相模原と重ねている。

「2011年のW杯優勝のなでしこジャパンは戦う姿勢を見せてくれましたし、たくさんの人が勇気づけられたと思うんです。自分は、あの時のなでしこジャパンのような存在にノジマステラがなれるようにしていきたいと思っています」

 あの時、なでしこジャパンには澤穂希というシンボルがいて強かった。 

 今、ノジマステラ神奈川相模原には松原がいる。これからは、そのことをプレーと結果で証明し続けていくことになる。

FMヨコハマ『日立システムズエンジニアリングサービス LANDMARK SPORTS HEROES

毎週日曜日 15:30〜16:00

スポーツジャーナリスト・佐藤俊とモリタニブンペイが、毎回、旬なアスリートにインタビューするスポーツドキュメンタリー。
強みは機動力と取材力。長年、野球、サッカー、バスケットボール、陸上、水泳、卓球など幅広く取材を続けてきた二人のノウハウと人脈を生かし、スポーツの本質に迫ります。
ケガや挫折、さまざまな苦難をものともせず挑戦を続け、夢を追い続けるスポーツヒーローの姿を通じて、リスナーの皆さんに元気と勇気をお届けします。

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