岡崎慎司が明かすW杯最終予選、劇的ゴールの後日談。「勘違いして天狗になることはなかった」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Jinten Sawada/AFLO

 岡崎の目に映る本田もまた、必死だった。

「当時は、圭佑もそうだったと思いますよ。(キリンカップの)チリ戦も、ベルギー戦も、圭佑は結構アピールしようとしていましたから。チリ戦の僕のゴールは、圭佑がシュートを打ったこぼれ球を決めているし、ベルギー戦でダイビングヘッドのゴールを決めた時も、よく見ると、ファーサイドに圭佑が走り込んでるんですよ。だから、ホント、ふたりで(競って)とり合っていたと思います。

 最終的に(2010年の)ワールドカップでは立場が逆転したり、その後は僕が右にいて、圭佑が真ん中にいて、という関係になったりしましたけど、当時からライバル視というか、お互い刺激にはなっていました。圭佑も僕のことを、『コイツ、また点とったな』って思ってたみたいですから(笑)」

 これまで3度のワールドカップ出場ばかりでなく、ヨーロッパ主要3カ国のリーグでプレーし、イングランド・プレミアリーグでは優勝の経験も持つ岡崎にとって、ワールドカップとは、そして最終予選とは、どんな舞台なのだろうか。

「間違いなく言えるのは、二次予選までとは別物だということ。ふだんの試合とは全然違う。それはたぶん、みんなもわかっていると思います」

 今年35歳になった熟練FWは、そう切り出して熱っぽく語った。

「同じグループに、アジアのなかでも強いチームが結構いますからね。どの国もワールドカップへ行きたいと思っていると思うし、その気持ちはどんどん強くなっていると思います。

 だから、相手が必死で向かってくるのに対し、それをかわして、という考えではなく、気持ち的な部分でどれだけ堂々とサッカーができるか。もう相手をぶっ潰すくらいの気持ちがないと飲まれてしまう。特にアウェーでは、やっぱり精神的な戦いになると思います。

 だからこそ、どれだけ戦えるか、が重要になる。決めるところでしっかり決める。守るところでしっかり守る。そういうサッカーの本質の部分が試合を分けると思います。最終予選は簡単にはいかないっていうことだけは、覚悟しておいたほうがいい」

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