中国のプランに助けられた日本。前半と後半の数字に見る違い、守備でオマーン戦から変えたこと

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by JFA

 シュート数は日本の16本(枠内2本)に対して、中国は1本(枠内なし)。ボール支配率も、77%対23%で日本が圧倒。願ってもないような、理想的な前半だったと言えるだろう。

 後半に入ると、さすがに中国も自陣に引きこもるようなことはせず、反撃の構えを見せ始めた。54分には、コーナーキックの流れから、2番のクロスをファーで15番がヘディングシュートを狙うなど、試合は前半とは異なるリズムに変化した。

 そして、リー・ティエ監督のプランが明確に示されたのが、後半62分。アロイージオ(21番)とアラン(11番)の2人の帰化選手を含めた3人を、一気にピッチに送り出した選手交代策だ。布陣も、特殊な5-3-2から、ノーマルな4-4-2に変化した。

「(中国は)もっとスタートからアグレッシブに戦ってくると思いましたが、中国のゲームプランはできるだけ長い時間を0-0で進めて、後半に勝負に出ることだった。(後半の)選手交代を見た時に改めて感じました」とは、試合後の森保一監督の見解だ。実際、前半の特殊な守り方と、後半途中の3人交代および布陣変更からは、そのコメントどおりの狙いが見て取れた。

 結果的に、中国はその後も決定機を作れずに終わったが、面を食らった日本が、それ以降にリズムを失ったのは確かだった。

 中国が日本陣内でプレーする時間が増えたために日本のボール支配率が低下し、攻撃は一気にトーンダウン。唯一のチャンスは74分。久保建英が伊東とのコンビネーションから相手ペナルティーエリア内に進入し、落としたボールをフリーの遠藤航が直接狙ったシーンのみ。それも含めて、後半のシュート数はわずか3本に終わっている(72分の大迫のヘディングシュートと87分の柴崎岳のミドルシュート)。

 ただし、オマーン戦からの守備面の修正も、わずかに見て取れた。その鍵を握っていたのが、ボランチの柴崎だ。

 相手が3人同時交代を断行した直後、柴崎は吉田と冨安健洋の間に落ちて、3バックを形成しながら相手の陣形を確認。そのうえで、追加点を狙うために室屋と長友が高い位置をとった際は、オマーン戦のように自ら前線に顔を出して攻撃に参加することはせず、吉田の右側に空いたスペースを埋めるポジションをとって、相手の逆襲を警戒。

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